オールタイムベスト - 日本文学篇

　さて、本日はオールタイム・ベストの日本文学篇である。選出時のルールは基本的に海外文学篇と同じ、ただし日本限定だと長編と短編集それぞれで10作品を選ぶほど思い入れがある作品が多くないので、両方合わせて10作品とした。

　それから念のため繰り返しておくが、振っている番号は順位ではなく私がその作品と出会った順番なので、お間違えなく。


<日本文学オールタイムベスト10>

1. 筒井康隆「脱走と追跡のサンバ」
2. 夏目漱石「こころ」
3. 稲垣足穂「天体嗜好症」
4. 内田百けん「冥途」
5. 石川淳「紫苑物語」
6. 澁澤龍彦「唐草物語」
7. 泉鏡花「春昼・春昼後刻」
8. 谷崎潤一郎「乱菊物語」
9. 山尾悠子「ラピスラズリ」
10.吉田健一「怪奇な話」


　筒井康隆は後期の作品の方が完成度は高いと思うが、子供の頃に読んだ「脱走と追跡のサンバ」の頭がぐわらぐわらする衝撃がどうしても忘れられず、私の中で特別な位置を占める小説となった。脳みそが痺れるという感覚を本当に知ったのもこの時だ。そういう意味では内田百けんの「冥途」にも驚いた。凄い小説というのは、読むとそれまでに持っていた「小説」の概念を木っ端微塵にされてしまうものである。

　次は映画のオールタイム・ベストをご紹介したい。