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『かくれんぼ・毒の園』 ソログープ ☆☆★
岩波文庫で読了。20世紀初頭のロシアの作家である。死に憑かれたような、耽美的な小説を書いた作家と聞いて入手してみたが、それほどの面白みを感じなかった。確かに死に憑かれた作家というのはその通りで、どの作品でも最後はみんな死ぬか、または精神に異常をきたしてしまう。死の描き方も甘美である。代表作である「毒の園」などは典型的で、愛し合う若い男女が毒の花咲き乱れる花園で手に手を取り合って死んでいく。
とはいえ、同じく死に憑かれていた作家エドガー・ポーのような凄愴な迫力はない。あそこまでの怪奇性はなく、また荘厳なメランコリーも見られず、従って真の戦慄もない、というのが正直な感想である。あくまで浪漫主義的な死の賛美にとどまっている。言ってみれば、少々甘ったるい。ストーリーや筆致はリアリズムというより寓話的で、牧歌的な味わいと厭世的なトーンが混在している。全体的にやはり、古色蒼然としている感は否めない。逆にその「古色蒼然」感を珍重する、という読み方もあるかも知れないが。
個々の作品にちょっと触れると、「毒の園」は復讐のため毒で育てられ、その口づけが死をもたらすようになった美女と青年が愛し合い、毒の花園で一緒に死んでいくという話。先に書いた通り、いかにもロマンティックな、自己陶酔的な物語である。「かくれんぼ」は、かくれんぼが好きな少女の母親が「よくない前兆」と言われてだんだん心配になり、やがて本当に少女が死んでしまう話。「光と影」も似た趣向で、影絵遊びが好きな少年を母親が心配し、やがて二人とも狂気の世界へ足を踏み入れていく話。最後に収録されている「死の勝利」は戯曲である。いかにもこの作家らしいタイトルで、言ってみれば、この作家の書くすべての作品の裏のタイトルがこれだと言ってもいい。
岩波文庫で読了。20世紀初頭のロシアの作家である。死に憑かれたような、耽美的な小説を書いた作家と聞いて入手してみたが、それほどの面白みを感じなかった。確かに死に憑かれた作家というのはその通りで、どの作品でも最後はみんな死ぬか、または精神に異常をきたしてしまう。死の描き方も甘美である。代表作である「毒の園」などは典型的で、愛し合う若い男女が毒の花咲き乱れる花園で手に手を取り合って死んでいく。
とはいえ、同じく死に憑かれていた作家エドガー・ポーのような凄愴な迫力はない。あそこまでの怪奇性はなく、また荘厳なメランコリーも見られず、従って真の戦慄もない、というのが正直な感想である。あくまで浪漫主義的な死の賛美にとどまっている。言ってみれば、少々甘ったるい。ストーリーや筆致はリアリズムというより寓話的で、牧歌的な味わいと厭世的なトーンが混在している。全体的にやはり、古色蒼然としている感は否めない。逆にその「古色蒼然」感を珍重する、という読み方もあるかも知れないが。
個々の作品にちょっと触れると、「毒の園」は復讐のため毒で育てられ、その口づけが死をもたらすようになった美女と青年が愛し合い、毒の花園で一緒に死んでいくという話。先に書いた通り、いかにもロマンティックな、自己陶酔的な物語である。「かくれんぼ」は、かくれんぼが好きな少女の母親が「よくない前兆」と言われてだんだん心配になり、やがて本当に少女が死んでしまう話。「光と影」も似た趣向で、影絵遊びが好きな少年を母親が心配し、やがて二人とも狂気の世界へ足を踏み入れていく話。最後に収録されている「死の勝利」は戯曲である。いかにもこの作家らしいタイトルで、言ってみれば、この作家の書くすべての作品の裏のタイトルがこれだと言ってもいい。
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