崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

IS戦闘員が母親を処刑

2016年01月12日 05時50分15秒 | 旅行
カイロ共同が伝えたニュースによるとIS戦闘員が母親を処刑したという。日本では親が子供を殺す事件をよく耳にするが父母を殺したという事件はあまりない。王座を狙った息子が父親を殺すことは神話などで知られているが、母親を殺すということは極限の敗倫兒である。北朝鮮の金正恩氏が父の姉の夫の叔父を粛清したことは韓国人にはショックが大きい。尊属殺害罪は朝鮮王朝では十悪の一つであり、現行韓国の刑法第250条第2項でも普通の殺人より加重している。ドイツおよび日本をはじめとする大多数国家がかなり以前に尊属殺害罪の規定を廃止したように韓国でも廃止論が上がっている。しかしそれには強い反発もある。
 親孝行が強い韓国社会において倫理規範と刑法の関係が対立している。結局法思想と伝統思想の関連性におよぶ問題である。廃止論者は法は道徳とは別だという。つまり法は社会の正義などを理想としているので古い伝統的な因習は打破すべきだという。場合によって正しい法精神を強調すると全国民を罪人とせざるをえない。立派な(憲法)精神が社会の伝統や慣習より先を走るような法の運用は問題であろう。