崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

アワビ

2016年01月02日 05時31分42秒 | 旅行
韓国語で「十年知己」という言葉が良く使われ、10年間長く付き合った友が本当の友人であるという意味である。私が下関に来た時の民団団長であった李相福氏がその一人である。彼は持病で健康に気を付けているが、私の回復によいと言いながら大きいアワビとサザエをくれた。特に韓国では子供の栄養食、回復期の患者や老弱者のための健康食として効果があるということでたくさん使われる。中国の秦始皇帝が不老長寿のために食べたという口承があり、李氏朝鮮時代の地方官吏の済州島の観察使が王様には必はず捧げるべきものだと言われたほど昔から健康食材として有名である。私はただ高級なものとして遠ざけて、食べた記憶が少ないものである。このよう特にアワビやサザエは昔から尊くもてなし用の水産物であり、御刺身として食べたことはあっても、お土産で頂いても殻から外して調理をしたことがない家内は困った。
 日本では刺身として食べることが多いが韓国では主に‘お粥’を作って食べる。家族が分けあって食べることができるのは‘お粥’が最も適切な料理法であったのだろう。結局ネット上の料理方法によって今の私の健康状態に合わせて家内はアワビ粥(전복죽)を作った。一味、別味である。贈ってくれた人、料理した人、そして神秘的に言われた薬効の話に圧倒され、勾玉でも食べる気持であった。美味しかった。感謝である。自然から栄養を取り、自然から薬剤をとる。今服用している薬も多くは自然の中からとれたものであろう。「ご飯が補薬である」という母の言葉を想起している。