崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

板門店

2013年10月13日 05時09分46秒 | エッセイ
韓国旅行第2日目の探訪が早朝から始まった。まず14人の先頭に立って朝食の食堂探し、明堂をジグザグに歩いても開店しているところは少なく、やっとモヤシスープ専門店を見つけ、入った時はすでに板門店への出発時間が迫っており、急いで、熱いスープを食べるのにフーフー。ロッテホテルまで数百メートル、私が先頭に早足で歩いた。数回、道を聞き、定時出発に間に合ってほっとした。車内ではガイドの張さんが分断の敬意を要約して分かりやすく、山や川などを窓から指差して説明した。禿げ山は北、繁げた山は韓国と写真禁止区域、停戦状態、非武装地帯の武装、緊張を高める話が続いた。
 私にとっては二度目の板門店行き、休憩所で中国新聞の伊東さんに偶然に出あい、歓声を上げた。彼はRCCの青木社長と中国新聞の北村編集長と同行、伊東さんは板門店旅行は10回ほどだという。私と縁の深い関係者と一日探訪と昼食などが一緒であったが私は別のグループだったので長く話すことはできなかった。ホテルに戻り別れの挨拶をしようと思い、待っていたが彼らは途中で飛行場へ向かったということをガイドから聞いた。
 3時にソウル中心のロッテ百貨店では韓国の特産物を買い、戦前の京城府庁、ソウル市庁である建物、国楽の公演をみてからホテルに戻り、夕食の韓定食の食堂へ向かった。マイクロ2台で漢江の南へ、全羅南道海南の「天一館」での韓定食を予約していた。私が1960年代以来現地調査で訪ねた時知った地域料理を皆に味わって欲しかったのである。白菜の漬物、水キムチ、伝統的な焼き肉、豚肉の散炙,高菜漬けのカッキムチ、エイ、石持ちと大根、トットリム(どんぐり)のナムル、カボチャ、長イモのムニエル、サトイモの胡麻煮、小太刀魚の唐揚げ、ホウレンソウ、なす、ズッキーニ―を乾燥したもののナムル、クルビ(干し石頭魚)、タラのスープ、お焦げスープ、デザートなどなど全てが美味しく、懐かしく、大満足してホテルに戻ったのは夜の10時頃であった。その後、私は民俗苑の社長らと編集会のような打ち合わせ会を行った。
 私は夕食会では夢中で食べるのに心を奪われるような喰う集いにはならないように一日の見聞の感想を発表させた。分断国家の悲劇、その歴史と現実を体験した話であった。分断国家のその最も緊張であるところを観光化している皮肉な場所であることが話のポイントにもなった。日本人に観光一番のポイントが最近の日韓関係の悪さと南北関係の緊張で人気が下がっているとガイドは言っていた。