崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

下関映画祭の準備に

2012年04月17日 04時59分35秒 | エッセイ
映画「獄」「長州ファイブ」などの製作者である「前田海産」の前田登氏の社長室を訪ねた。下関彦島西田町の端の一角に北海向けの250度ほど全面ガラスに広がる全景が目に入った。人口島に囲まれた海には大型船舶が停泊している内海であるが、やはり朝鮮海峡の風波は強く高くなる時が多いという。下関の景色といえば我が家のベランダが一番と思っている私がショックを受けるほど。そのまま映画の背景になりそうな景色である。自然に映画の話につながった。下関には前田氏のような製作者、作家の古川薫氏、俳優の田中絹代と木暮美千代、松田優作、前田良 など、監督の佐々部氏とグ・スーヨョン氏、東亜大学の映画専門家など、多様な人がいて、下関出身の方も多い。
 これらを考慮して私は下関の映画祭の目的を提案した。1)田中絹代を記念する。2)下関の映画の伝統を尊重する。3)地理的に東アジアと関連させ国際化を図る。これら三本柱を立てることにした。
 テレビなど画面の大型化マイホームシアター時代になっていくにつれて映画館に集客は難しく映画館が閉鎖される時代に映画を以て祭り上げることは無理な話である。しかし別の意味があることを考えてほしい。全く暗い暗幕のなかに静粛と音響による感動の時間と場所を提供するということ。それは世俗から聖なる空間へ体験の時間へ呼びかけることである。最近のある映画を見て全く面白くなかったという話しを聞いてレベルの差を感じた。市民と語り合って映画を見る方法も語り合う、知識や生活のレベルアップを図るのを映画祭の趣旨にしてほしい。(写真:右から河波、私、前田、権藤)