崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「ソマリア化」

2012年04月26日 04時49分07秒 | エッセイ
 先日「毎日新聞」(2012年04月22日)に記載されたフランスの思想家ジャック・アタリの「ソマリア化する世界」が痛快な文として頭から離れない。

  民主主義を伴わない市場のグローバル化はルールのない世界を生む。無政府状態が15年間も続くソマリアを想起してほしい。市場だけのグローバル化は「ソマリア化」と呼ぶことができる。そして私たちは今、どちらかというと、ソマリア化する世界の中にいるのだ。…
  アジアで地域統合が進まないのは、アジアの弱点でもある。

 私は韓国の民主化運動家、元大統領の金大中氏が民主化と経済発展は車の両輪だと主張したことを想起する。上の文にソマリア化はおそらく中国などを指すのであろう。マックス・ウェーバーの古典的な研究では精神が近代化へという説として長く風靡したが今はそれほど信頼されていない。つまり経済は経済的な論理やメカニズムで運用されるということであろう。「企業精神」はなくとも経済的に富を積んでいる人は多い。「横に歩いても都へ至る」という諺のように方法や倫理精神がなく富裕層になった人は多いのではないだろうか。ソ連崩壊以降民主化が進み、経済的に発展する国家が多いが、中国は民主化をせず経済的にグローバル化「ソマリア化」している。経済は経済、物は物、唯物論主義が実に強く生き残っていると感じる。