崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「味は広東にあり」陳氏書院

2012年04月01日 07時08分47秒 | エッセイ
 今度の論壇で度々話題になった系譜関係を知る上でも陳氏書院(陳家祠)を観るべきであった。伊藤、嶋、李鎮栄と私、そして案内は日本からの留学生の星野さんと韓国からの朴君であった。私は昔韓国の崔仁鶴氏と寄ったことがあるので2回目になる。韓国でも書院を多く観たので比較的な視線で見ることにした。私の関心は何より祖先の位牌であった。この陳家祠は1890~1894に当時の広州72県の陳姓の人々がお金を出しあって精巧な彫刻が施して、建立した。ここで陳氏一族子弟の教育も行った。この機能は韓国の書院と全く同じである。まず19棟のなかに中心の棟に祖先の位牌が置かれている。しかし毛沢東時代に破壊されて、復元されている。昨日我らは集中的に説明書を読みながら解釈にしまってみた。
 中央最上部に位牌が二つ、夫婦ではないであろう。星野麗子氏が撮影した(上)位牌には

 南海県河村房
 明恩授承義官欽真外郎老諱宇廷擧号白斎陳公府君神位
     妣 呉氏                               宜人
       鄭氏                               
 *韓国では本貫(南海県河村房)「学生」などの地位(義官欽真外郎)個人名と号(白斎)男性(公、府君)神位、夫人は二人、孺人(宜人)などが多少変わっても全体としては一致する。

など一つの位牌に夫婦(妾)と一緒に書かれている。赤い階段式の位牌に6千余の位牌が上から下へ左から右、右から左への順に下がることを知った。祭祀の時の位牌の配置図では中央に正座、その東隣に2、正座の西隣に3、さらに東に4、西に5の配置になる。これは位牌を祀る「昭穆之序」による位地を意味するものであり、それで韓国と同様儒教祭祀と同様なものである。中国の影響が大きいことを意味する。研究会で儒教文化圏で祖先祭祀を基準とした比較を提案したが反応がなかったが、新しい研究を期待する。私は研究が大きく進むことを感じた。
 もう一つの観光名所の光孝寺では清明節の祈念する行事が行われた。そこでも位牌に関心があった。仏教の位牌には神位の代わりに蓮位である。子孫たちが仏服をきて坊さんと歌のように念仏する。韓国の寺でも位牌をまつっているのと同様である。疲れてミニオートバイバスを乗って、コリアタウンというところに在来の市場を見て私の好物である松の実を買った。また伊藤さんの好物のマンゴスチンを味わった。美味しい。「味は広東にあり」。そして川の夜景、寝る時間が過ぎた。