崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

韓国のテレビ局から

2010年08月13日 05時26分07秒 | エッセイ
 韓国の某テレビ局から何度も電話で情報提供の要請があった。シベリア・シャーマニズムのプログラム制作用に私の映像資料とカザフスタン・アルマティのソンラブリンチ氏撮影のある村での最後のシャーマンの儀礼映像が必要だとのことである。ソン氏は高麗人であり、私の紹介でソン氏とは電話で話したと言い、私が所蔵している資料を使いたいと言う。私は著作権を理由に断った。以前に比して私が韓国のテレビにこのように消極的なのは数年前韓国のMBC報道に被害を受けたことがあるからである。誠意を持ってインタビューに応えたのに悪用され、悪意のある編集に大変心痛い経験があるからである。 テレビ局の担当者は私が1988年に民音社から出版したディオセジーとホパールの著『シベリアのシャーマニズム』の訳書を基にして制作しているという。私は今から10年ほど前にシベリアのシャーマンを探して歩き、ディオセジーを案内した元イルクツク大学のロシア文学者に会って情報を得て、ナナイ族の最後のシャーマンに会って撮影に成功したのである。1年後彼女が死亡したことが新聞に報道されたので私の映像が唯一のものになった。その映像は日本で学問用の資料としてビジュアルフォークロアの神氏が編集してくれた。その資料を「郵便で送ってほしい」といわれた。しかし固く断った。どのように編集するか予測が付かないからである。