崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

集中講義を終えて

2010年08月12日 05時21分11秒 | エッセイ
 東亜大学大学院での集中講義が終った。これで前期の講義が全部終えた。お盆休みで大学の建物には人がいない。私が一人で占有している気持ちであった。講義では死の問題、改正脳死移植法も議論してみた。日本がそれに関して 法律や規制が厳しく、患者の中には高額を払ってアメリカやオーストラリアなどの外国に行って受けた人も多かった。やっと日本でも本人の意思が家族に伝えただけでも行われることになった。一昨日にはマスコミに大きく報道された。しかし脳死の身体が死体であるか、生体であるかは区別が簡単ではない。社会や時代によって異なるからである。
 植物人間に医療的に、経済的に負担であるという認識は軽薄であろう。それは人とは一定の基準と標準があるということになる。それぞれの多様な人間であるという認識が必要である。ただ人の身体を使って命を延長するまでの倫理も再考せねばならない。法律、慣習、宗教、医療、経済などさまざまな問題で考察すべきである。特に政治家たちがよく認識しておくべきテーマであると再確認する議論をした。