崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

ミイラにも年金支給

2010年08月02日 05時19分01秒 | エッセイ
「昭和のレトロ」展を観覧して日本人が懐かしく思われるものに私が同感であるほど古いアイロンやミシンなど日韓は共通であったことを痛感した。また最高齢の111歳とされていた加藤宗現さんがミイラ化していた話も似ていると感じた。1980年代に韓国全羅南道で調査した巫女の戸籍を調べたところ、最高齢者として盧大統領から記念品などを貰う対象であった人がいた。しかし実物としての彼女の名前と生年月日が異なっているので追求すると戸籍上の人は死んだが後妻が結婚届をせずそのままにしてきていることが分かった。被差別の巫たちは役場などへ出入りすることを嫌がって、そのようになったというのであった。それは家族や戸籍係りも周知のことであった。数年前に後妻の方が亡くなったことを確認したが戸籍上では彼女が世界一長生きであったのではないだろうか。その死亡届はどのように処理されたのか疑問が残る。
 戸籍上は生きている加藤さん(ミイラ)には現在まで妻の遺族共済年金が支給されていたという。死亡しても殺人ではなく、死亡届をしなければ長生き(?)する。出生届けをしなければ生まれていないことになる。数え年では誕生日が生まれた予告日になるのか。中国では戸口一人子以外の子の出生届けを避ける傾向があるといわれている。事実と記録は必ずしも一致するとはいえない。それをよく管理、運営することが大切である。今回の件に関してはミイラに年金支給を支払った行政だけではなく、家族が閉じこもってしまう、隣に住む人をお互いに知らない社会的な問題でもあるといえる。