崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

春蘭

2009年01月11日 04時21分16秒 | エッセイ
 低い気温とは関係なく季節のリズムによって植物は春に向かっている。寒さの中で一鉢の春蘭から新しい芽が5個も出ている。その嬉しさを値段で計算してみる。一芽が千円としたら5千円儲かるというと、家内は商売に関心がないのになぜお金で考えるのかと笑う。狭い空間のベランダや窓際に鉢を置いていることはただの浪費ではないという気持ちからそうなったかと考えてみる。よい服を着ている人をみて美的に鑑賞し、賛嘆しながらその値段も気になることがある。そのように品定めをする女性を品がないと思ったが、自分自身もその心をもっていることを悟った。つまり美の経済性を発見したのである。
 これから春蘭が咲いて素晴らしい香りを発するだろう。春蘭は華麗な花ではないが弧を描くように自然に伸びた葉の中からまっすぐの茎が出て花が咲いて香りを発するのである。美の最高は香水といわれるようにわが部屋は美しい花香で満杯になることを待つ。「春よ、来い」