崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

イスラエルとサマリア人

2009年01月02日 07時12分26秒 | エッセイ
 イスラエルがガザのハマスを攻撃して400人以上の死亡者を出した。その記事の中で気になるのがサマリア人である。サマリアはイスラエルの北のユダヤ民族の王国であった。キリスト教とは敵対していた。しかしイエスは彼らも隣人として和解と平和を求めた。
 「善きサマリア人」の逸話がある。あるサマリア人の律法学者がイエスに「わたしの隣人とはだれですか」と言った。イエスは、「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗に会い、彼は衣をはぎ取られ、殴りつけられ、半殺しにされ、おき去りにされた。たまたまある祭司がその道を下って来た。彼はそのけが人をを見ると,反対側を通って行ってしまった。同じように一人のレビ人も、その場所に来て、彼を見ると、反対側を通って行ってしまった。ところが、あるサマリア人が、彼のところにやって来た。彼を見ると、哀れみに動かされ、彼に近づき、その傷に油とぶどう酒を注いで包帯をしてやった。彼を自分の家畜に乗せて、宿屋に連れて行き、世話をした。さて、あなたは、この三人のうちのだれが、隣人になったと思うか」答えた。
 歴史的にサマリア人がイエス一行に宿を貸さなかったりキリスト教徒がサマリア人を虐殺したこともある。サマリア人の人口は、2007年現在で700名余りにまで減少した。イスラエルとパレスチナはこのような歴史を引き継いでいる。宗教の教えと社会のずれの端的な例である。心が痛い。