畦木のある風景

2017年10月19日 02時53分16秒 | 京都
京都新聞「凡語」(10月17日朝刊より)

稲刈りをほぼ終えた田園風景に緑の樹木が点在する。田んぼわきに植えられた畦(あぜ)木は亀岡盆地の代表的景観で、彼岸花の盛りには畦を染める赤や稲穂の黄金色との鮮やかなコントラストで写真愛好家らを引きつける。
もともと田畑の境界を示し、刈った稲を乾かす稲木などに使われてきた。(中略)実に27種類、推定2千本はあり、稲木用に低く枝を落とすため「げんこつ」「もじゃもじゃ」などと呼ぶユニークな形が多いことも捉えた。
見えてきたのは先人の暮らしぶりだ。山に遠い盆地中央部は燃料となるクヌギやハンノキ、保津川の近くはヤナギが多く、水路の土手の補強も担っていた。「根を張る畦木なら洪水時も流されず、泥で埋まっても目印にして復旧しやすかったのだろう」という。
この20年、ほ場整備や機械化で次々と畦木は姿を消している。(中略)冷え込む朝の霧に浮かぶ畦木は「亀岡の原風景」ともいわれる。一本一本に込められた自然との向き合い方に思いをはせつつ見守りたい。

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亀岡地域にみられる「畦木」についての記事です。
これを読んで思い出すのが、数年前に381系を追いかけていた頃のこと。
確かに、並河・千代川間の線路沿いの田畑には、小さな木が点在していました。


サイドからはすっきりと編成を収められる場所が少なかったため、木を入れて水鏡写真を狙った覚えがあります。
当時は「小さい木が多いな」という程度の印象だったのですが、まさしくこれが畦木だったのです。
そうと知れば、何の変哲もない287系の走行写真も亀岡らしい一枚に!(笑)


言われてみれば、こうして田園の真ん中にポツポツと木が生えている光景は他ではあまり見ません。
独特の植生も、その小振りな形も、すべて先人の手によるものと聞けば納得です。


八木城址に登れば、桂川が横たわる亀岡盆地が明瞭に浮かび上がります。
記事中にもある通り、たびたび水害に見舞われた当地において、失われた田畑を再興する際の目印になったのが畦木だったのだそう。画像の下半分、一直線に並んだ畦木の列を見るとその意図も何となく想起できます。

国鉄特急色を目当てに何度か通った亀岡盆地。京都市内からほど近い田園風景には時折心癒されますが、あぜ道の小さな木ひとつにも土地の歴史が詰まっているのだと、改めて同地のもつ魅力に気付いた次第です。
「丹後の海」や「瑞風」などまだまだ撮りたい列車は走っているので、次に訪れた際はぜひ畦木と列車を共に。

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