西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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"Histoire de ma vie littéraire et intime 1832-1850"

2012年06月02日 | サンド研究

"Histoire de ma vie littéraire et intime 1832-1850" , Editions Paleo, collection "de Sable", 14 x 20,4 cm, 396 pages, 30 €. Ce texte est la Vème partie de Histoire de ma vie.
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2012サンド研究会:講評会

2012年06月02日 | サンド研究

今日は仏文学会春季大会。
東京大学、本郷キャンパスの法文1号館にて。
法文1号館まで辿り着くのが一苦労でしたが、何十年ぶりかに目にした赤門はなぜか昔のイメージより色鮮やかで、小ぶりながらひときわ壮大な存在感を感じさせました。

午前中のサンド研究会は、『200年目のジョルジュ・サンド』講評会でした。参加者の皆さんからは、次のような御感想や祝いのお言葉を続々と頂戴いたしました。

・美しく品のある表紙。内容が格調高く充実している。
・自分の研究テーマ田園小説に関する論文では、『愛の妖精』の「男らしさ」の男性論や長編の『笛師の群れ』の芸術論が印象に残った。
・こうした本は雑多な論文の寄せ集め集になりがちで歩調を合わせるのが非常に難しいが、個性ある各論文が相互に違和感なく調和しよく纏められている。
・外部の方から「受容史」がよいと褒められた。本書の書評依頼を考えたい。
・12名もの著者がいる共著は出版まで漕ぎ着けるのが大変で、途中で挫折し刊行まで至らないことが多い。何度もそんな経験をしているが、今回は「協同が力」となることを実感した。
・サンドと音楽家を研究している身には、ドラクロワの論文が役に立った。
・サンド専門以外の美術や音楽の専門家にとって、極めて興味深い本。音楽大学では、この本を欲しいと、即日注文された先生方が何名もおられた。
・高度な「日本におけるサンドの受容史」も重い感じがせず、前半部ともうまく調和している。
・略史と用語解説が冒頭に置かれ、次に論文、最後に資料的内容と続き、読みやすい構成となっている。
・サンド略史は新たな情報が盛り込まれていて、用語解説とともにこの本を授業のテキストとして使用するのに役に立つ。
・情報がぎっしり詰まっていて、専門家や若手研究者にとって示唆に富んでいる。だからといって重い感じがせず、一般読者にも手の届く内容である。
・清楚で美しい表紙の見かけと本の内実が一致している。
・学会編の処女作『ジョルジュサンドの世界』が入門編だとすると、今回は前作を更に発展させた素晴らしい内容の本となっており、サンド研究史における歴史的記念となる書になった。実によく頑張った。ここまで来たかとうれしく、敬意と敬服の念を感じる。

批判はと言えば、写真がカラーだとよかったこと位で、皆さん、とてもお優しく、時間が短く限られた内輪の講評会だっただけに、自画自賛に偏りがちで客観的な批判に乏しく、その点はいささか問題となる講評会ではあった。極めつけには有り難きことに、女性サンド研究の先駆者でおられる80歳のドンから学会宛てにお祝い金まで頂戴していたことが明らかとなった。また、この日、初参加の大学院の若手研究者2名が新たに学会員となることに決定、学会のさらなるパワーアップが期待されるだろう。

いずれにしても、三年がかりの共著が日の目を見たことは、兎にも角にも祝賀するにふさわしく、著者の方々や応援して下さった学会員と同様、この出版のために全力を注いでこられた編集担当の方々にとって、あらゆる意味で感無量の日になったことと拝察いたします。

昼食会は、落ち着いた素敵なフレンチレストラン Lever son verreにて、白ワインで共著の出版を祝って全員で乾杯。久しぶりの子羊の煮込み料理や魚料理に舌鼓を打ち、エスプレッソと珍しいデザートも圧巻で、気心のあった研究者同士の楽しい会話のハーモニーに時の流れを忘れるひとときを過ごしたのでした。

研究会にご参加くださいました皆さま、本日は大変お疲れ様でした。
そして、本当にありがとうございました。

ーーー
承前:
昼食会の後は、文学衰退が社会風潮となっている現代に生きる文学人間を励ましてくれたCompagon氏の講演、続いて、ユーモアあふれるフロベールに関する蓮見重彦講演を拝聴、帰り道の古本屋さんでプラトンのギリシャ語付きの貴重な一冊を手に入れることもできて、今日は疲れを忘れさせてくれる充実した一日となりました。











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