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読書感想「ワイルド・ソウル」垣根涼介

2024年03月23日 18時58分38秒 | 乱読本感想
新潮社
2009年11月1日

上下巻の感想。
少し前の作品だが、どうせ内容も少し昔のことだし、直木賞受賞作なので読んでみようと思った。
が、読み始めて、ショックを受けた。
私の中で”少し昔”は第二次世界大戦の前くらいだろうと勝手に思い込んでいたからだ。
えっ!?移民って・・・よく見れば1961年って・・・私はもう戦後ではないと言われた時代の生まれで、田舎で育った。まわりも含め決して裕福ではなかったけれど、普通に生活できていたその頃だ。それなのにブラジルに移民した人たちの生活はなんて悲惨なんだ!
その上、その悲惨な環境に送り込んだのが日本政府だなんて、信じたくはないが、現在の日本政府も信じられないから、そうなのか。
で、家族や仲間たちのほとんどを亡くした生き残りの人たちが日本政府に復讐しようと思うのは当然のことだろう。
ただ、日本から遠く離れ過酷なブラジルでは復讐すら難しい。
生き抜いて、働いて働いて、挫折しても働いた人たちや、子供が生き抜いて大人になって、やっとその”復讐”にとりかかれる。
もう、応援するしかない。


そして、下巻。
上巻で陰鬱な気持ちになっていたが、彼らの復讐にワクワクする。
彼らが人の命を奪うような行動をすれば嫌な気持になるだろうが、それは無い。
劇場で観る壮大な映画の様なシーンが続く。
それは現実離れしているので、ハラハラドキドキを楽しめた。
最後もアメリカ映画のエンディングの様だった。
映画になれば面白いだろうと思った。
現実に映画化の話があったらしい。
あまりにも壮大なので製作が難しいのか、はたまたまだ生き残っている後ろ暗い日本政府関係者の横槍が入ったのか、それは実現しなかったようだ。

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コメント
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