カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

坂道

2010-07-03 23:07:44 | Weblog
河野美砂子さんの歌集『無言歌』から。


しんかんと昼寝覚ののち坂道は死者の家までのぼりゆきたり  河野美砂子



死者の家までの坂道、というと、

死があたかもひとつの季節を開いたかのやうだつた。

の書き出しで有名な、堀辰雄氏の『聖家族』が思い出されます。冒頭の場面、亡くなった「作家九鬼」の家への坂道が弔問客で賑わっている様を描出していました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

がんきうは眼球

2010-07-03 22:56:17 | Weblog
河野美砂子さんの歌集『無言歌』から。


まなぶたにゆびさきあつるしまらくをとくとくと息づけるがんきう  河野美砂子
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お寺の帰り

2010-07-03 19:24:27 | Weblog
お寺のお手伝いからの帰り。池袋駅前のジュンク堂書店への道で、細長い飲食店ビル上階から水が溢れて激しい雨のように、まるで一本のレインツリーがそこに立っているように路上を濡らし叩いているのに気が付いた。。店員がふたり道に出てきて、歩行者に注意するように叫んでいる。通報はすでになされたようだ。消防車のサイレンが二つの方向から勢いよく近づいてくる。私は野次馬を遠巻きにしてその場を離れる。後のことはいっさいわからない。多分大丈夫だろう。


メモ。


町に戦闘機も戦車も兵士もやって来ないけれども、町はたしかに戦争のただ中にあった。町の住民たちが毎朝開く新聞には、一面に決まって戦果報告が載り、子どもたちは目をきらきらさせて大人がそれを声に出して読んでくれるのを聞くのだった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする