京都市上京区の護王神社で新年の風物詩として人気の「イノシシふれあいコーナー」が、2020年は中止されることになった。毎年神社を訪れるイノシシは豚コレラ(CSF)対策のワクチンを接種されており、ワクチン接種済みの動物の移動に制約があるため。神社では「2020年限りの緊急措置としたい」としている。
同コーナーでは、静岡県内の移動動物園で飼育されているイノシシ2~3頭が正月の数日間、神社の境内で過ごす。人慣れしているため体をなでたりできるといい、初詣の参拝者や家族連れに人気となっている。
だが関東や中部で豚コレラが流行したことで、今秋から飼育豚へのワクチン接種や野生イノシシにワクチン入り餌を散布するなどの対策が始まった。ワクチン接種を受けた豚やイノシシの未接種地域への移動は国の指針により規制されているため、未接種地域の京都府への移動ができなくなったという。
10年以上前から続く人気イベントだけに、護王神社の本郷貴弘宮司は「かわいらしいイノシシに会うのを1年間楽しみに待っている人もいるので残念。再来年は再開したい」と話している。
1年間のほこりを払う年末恒例の「おすす払い」が20日、京都市下京区の西本願寺と東本願寺であった。合図とともに僧侶や門信徒が竹の棒で一斉に畳をたたくと、広い堂内にほこりが舞い上がった。
西本願寺では午前7時、長さ約0・4メートルのわら草履を履いた大谷光淳門主(42)が約4メートルのほうきを左右に振るのを合図に約600人が作業を開始。長いはしごをかけて欄間をきれいにしたり、ほこりを大きなうちわであおぎ出したりといった大掃除の風景が見られた。20年近く一緒に参加している滋賀県草津市の女性(83)と女性(77)は「年齢も年齢なので今年が最後の参加かもしれないと思い、一層力を込めました」と話した。
本殿が国宝に指定されている滋賀県野洲市大篠原の大笹原神社に自動放水設備が設置された。検知器が炎を感知すると人が操作しなくても放水が始まる仕組み。県内の国宝の神社建築では初導入で、氏子らは「神社を守り継ぐ上で大きな安心」と話している。
同社本殿は1414(応永21)年に再建された。壁面に施された華やかな彫刻装飾が特徴だが、宮司は常住していない。県文化財保護課によると、県内の神社建築の国宝は、ほかに日吉大社(大津市)の西本殿と東本殿、苗村神社(竜王町)の西本殿など6棟あるが、自動放水設備がある社はない。
本殿を囲むように、炎検知器5基と放水銃3基を配置した。検知器は前方60メートル先の火気を感知できる。本殿に加え、周囲の六つの小宮などにも放水され、50トンの防火水槽が50分で空になるという。
昨春に氏子総代と宮司らで開いた役員会で導入を決定。今年4月から施工し、9月に完成した。総工費6100万円。国、県、市の補助を受け、324万円は氏子と地元自治会が負担した。手動の消火栓も新調した。
これまで消火訓練を氏子総代らで2回、地元消防団も参加し1回行った。氏子総代(73)は「地域の誇りである神社を守るため、訓練を重ねて機器の使い方をマスターしたい」と話している。