モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

球体デッサンのワークショップ

2023-04-18 23:51:19 | 学生ワークショップ

学生クラスのワークショップ指導者という大役を任されました佐藤です。
新学期なので、火曜・木曜の学生クラスでは、新中1~高3までの全員で球を描くワークショップを行いました。
説明20分、制作80分、講評20分の2時間です。球1つ描くのに80分は長過ぎだろうと思われる方もおいでと思いますが、二次元の紙上に三次元の立体としてそこに存在するような、触れれば転がりそうな、密度のある球を描くことはなかなか難しいのです。

今回はモチーフとして、カラーボールを使っています。モチーフ自体が持つ色のことを「固有色」と言いますが、カラーボールにはしっかり固有色があるので、まず初めに固有色をつけることを意識しながら描いてもらいました。
上記の資料は携帯で撮影したカラーボールを白黒加工し、印刷したものです。携帯は撮った写真をすぐに白黒に変換できる便利な機能がありますので、皆さんもぜひ試してみてくださいね。

立体的な球体を描くには、いくつかコツがあります。
今回のワークショップで生徒たちに伝えたものの中から、重要なポイントをピックアップしてご紹介したいと思います。

  1. 反射光を意識すること
  2. 床に落ちる影をしっかり書くこと
  3. 球の形に沿って鉛筆を使うこと

以上の3つです。

まずは、反射光について。
上記のデッサンを見ると、球の最下部ではなく明暗の境目が一番暗くなっているのが分かりますでしょうか。この最も暗い部分が面と面の変わり目であり「稜線」と呼ばれます。
一番暗い稜線の下が少しだけ明るくなっているのは「反射光」によるものです。地面に当たった光を反射して、球の下部を少しだけ明るく照らしているんです。
この反射光を取り込むと、球の回り込みが表現され、立体感を出すことが出来ます。

続いて、床に落ちる影について。
影の向きや長さによって、モチーフが置かれている環境を表現する事が出来るので、影は立体感を出すために重要な要素です。
ミオスの教室には光源がたくさんあるので、床に落ちる影も単純な楕円にはなりません。右方向の影と左方向の影が重なり合ったり、影の中にも濃淡があったりと複雑な構成をしています。それらをしっかり観察して描き込んでいくと、デッサンの説得力がグッと上がりますよ!
また、球の特徴として、床に接地する面がとても狭いことが挙げられます。
接地面には一切光が入らないので、影の中でも最も暗く描きますが、球体の接地面を広く描きすぎてしまうとお尻が潰れたように見えてしまうので注意が必要です。

最後に、球の形に沿った鉛筆のタッチについて。
球体に陰をつける時は、横向きや縦向きに塗るだけではなく、球の丸い形に沿うように曲線のタッチも加えてみてください。
球の丸みを意識せずに直線のみで陰をつけようとすると、カクカクして立体感の感じられない面になってしまいます。
ただし床に落ちる影は、曲線を使わずに直線で描くようにしましょう。影は平面なので、球体とは異なりタッチで立体感を出すと却って不自然になります。

学生たちにはこれらを意識しながら80分みっしりデッサンをしてもらいましたが、どの作品もとても良く描けていました!
球体だけを長時間描き続けるなんて退屈……と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、球や立方体といった基本形のデッサンは、人工物・自然物問わずどんなモチーフにも応用する事が出来ます。

今、もっと複雑なモチーフにチャレンジされている方にとっても、基本形のデッサンの技術は改めて参考になるのではないでしょうか。
今回ご紹介した球体のデッサンのコツを、ぜひ皆さんの作品作りにも役立てて頂ければと幸いです!


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