鳥光 岩絵具/和紙・パネル
ナツメです。本日は、水曜大人クラスの鳥光さんの作品をご紹介します!画面いっぱいに描かれたアサガオの姿。鮮やかな青、くっきりとした輪郭、そして葉や蔓の伸びやかな動きが印象的です。
まず目を引くのは、中央に咲いた花。深い青の上にわずかに明るい青が重ねられ、中心の白との対比によって力強さと涼やかさが同時に感じられます。花びらのかすかなかすれや濃淡には光の揺らぎや花の柔らかさが自然ににじみ出ており、絵の具の重ね方の工夫がうかがえます。写真では伝え切れませんが、めしべや花びらを中心に岩絵具が使われており、角度を変えるときらめくのも見どころです。
また、背景の明るい黄色は補色関係にある青とのコントラストを際立たせ、画面全体の印象を引き締めています。岩絵具のマットな質感が派手になりすぎることを防ぎながらも、色同士が響き合っていて心地よい仕上がりになっています。
構図も注目ポイントのひとつ。西洋絵画のように陰影をつけて立体感を出さない分、シルエットを丁寧に追っているため余白の形も非常に整っています。この「余白を活かす」感覚は日本画ならではの特長でもありますが、実はデッサンなどの基礎においてもとても重要な考え方です。描かれていない部分も画面の構成要素のひとつと捉え、それが美しく整っているかを見極める力は、絵全体の完成度を左右します。今回の作品では花や蔓と余白とのバランスを繊細に捉えられており、描かれている部分と描かれていない部分の両方が互いに魅力を引き出しています。
花の姿だけでなく、それを取り巻く空気の澄んだ静けさや、朝の光のやわらかさまでが自然と伝わってくるようで、そっとそこにある風景を静かに差し出しているような、そんな優しさとまっすぐさが感じられます。