モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

藝大への挑戦

2020-01-28 23:20:57 | 学生


『切先』 藍 高2 油彩

今日は雪交じり、オバラです。19、20日はセンター試験でしたが、この日も雪でしたね。私が共通一次試験を受けた時も雪、寒い試験会場へ馬鹿正直に制服を着てくる現役生を「こいつらアホだな」と横目で見て、自分の頭の悪さを棚に上げ安心していたのを思い出します。

さてこちらの作品、神奈川県高校美術展で奨励賞を授賞しました!
正直、人体のバランスがメチャメチャ、椅子との関係もおかしい、とデッサンの狂いはかなり気になりますが、高校2年生でここまで油彩を自分のものと使いこなせているのは素晴らしい。また自分自身の内面への、この切込み方は魅力です。背景は敢えて上下ど真ん中で白黒に分け、後ろに置いたパネルの柱を脳天に突き刺さっているが如く配置、中央に頭が来るように工夫を凝らした足のトリミングも危うさに拍車を掛け、不安定な17歳の象徴そのものに見えます。
まだ成長過程の未完成な自分を、細い肩・尖った膝で強調しつつ、『切先』つまり『視線』だけは一人前の男の強さで自分以外のものを拒絶もしくは排除するように、こちらに向けて来ます。しかしそれは、未熟な自分を奮い立たせ、屈する事のない精神力をあたかも持っているかのように己に暗示を掛けようと、自らに向けられた『覚悟の切先』なのです。

1年前の自画像から比べると、絵作りの試行錯誤を苦しみながらも楽しんでいると見受けられます。これなら日本で一番受験倍率が高い藝大美術学部絵画科(とは言っても最近は20倍程度に下がっています)も門前払いにはならず、受験する権利位は得られたかなと思います。
私も高2の時に描いた自画像(藍とは逆の、にらめつけながら見上げる構図)が、東京都高校美術展で奨励賞をもらったのを思い出しました。当時は「美大受験しない人達も出品してるんだから、入賞なんて当り前じゃん。」と思っていましたが、藍にもその位の気概と生意気さでこれからも精進していって欲しいです。

オマケ  ちょっと話は逸れますが、私も藍も藝大受験をテーマに描いたブルーピリオドという漫画が好きでよく話をします。他のスタッフや生徒さんにも広めているのですが、スタッフで一番若い大学2年の一平先生は「読むと高校時代(研究所時代)のつらい記憶がよみがえってきて頭痛がした。とても一気には読めなかった。」と言っています。(受験から35年も経っている私ですら、当時の苦しみが思い出され吐きそうになりました。)しかし美大受験のあるある話を一般の人が読んで楽しいのだろうか?と思いましたが、2019年のマンガ大賞に選ばれていて不思議。とは言え読んだ人が藍のこの絵を見ると「ああ、これか!」キューンと来ること間違いなし!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする