モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

パンドラの底の希望

2011-12-31 19:34:14 | スタッフ講師
Obarasakuracha_2小原 『春を待つ』 絹本・墨・透明水彩

2011年もそろそろ終わろうとしています。
今年は地震や台風などの災害を抜きにしては語れない年となってしまいましたが私なりに感じたことを…。

アトリエを開校した当初から憧れていた40代(人様に「先生」と呼ばれて恥ずかしくないと思い込んでいた年齢)になり、多少なりにも幅広い視点で物事を見ることができるようになってきたと自惚れていた矢先におきた災害。
冷静な行動や普段通りの心持ちをすることが、なかなか難しいものだと改めて感じました。

話しが少し飛びますが…
日本の民話『三年寝太郎(さんねんねたろう)』は、「三年間眠り続けた一見するとただの怠け者の男が、突然起き出し灌漑をして村人を助け、また眠ってしまった。」というお話ですが、予想外の出来事に直面して火事場の馬鹿力が出たというより、もともと持っていた力を表面的なダメな部分に邪魔され、周りの人が気が付かなかっただけな気もします。
干害が起きなければ世の中の役に立つ時はありませんが、寝太郎の力を理解していれば村人は彼を尊敬し続け、これからも安心して暮すことができるでしょう。

アトリエにいる寝太郎たち…
いつもいい加減で、おしゃべりのクセに人の話しは聞かなくて、他人の邪魔やイタズラを生きがいにして、怒られるとふてくされる、一見するとただの困ったちゃん達の本来の力を、幅広い視点を持ったつもりの私は気付きませんでした。
災害の時に彼らがしたことは…変らずそのままのハチャメチャさで振り回してくれた、でした。しかしたったそれだけのことに、側にいた全ての人はどんなに救われたかわかりません。
究極の平常心、屈強の精神の持ち主達という訳ではなく、こういう時に必要な能力を備えていたという事。それをみんなが理解できたという幸運。辛い状況で笑いを任せることができると思える安心感。心配していた彼らの未来を信じられる嬉しさ。
信仰心は普通の日本人並みに低いのですが、神様がこの子たちを遣わせてくださったのだと感じました。
これからも幾度となく激怒するとは思いますが、彼らの存在に感謝する気持ちは薄らぐことはないでしょう。
震災をはじめとする様々な出来事から教訓として得たこと“多角的な人の見方”を学んだ、これが私にとっての今年の思い出です。

新しい年が希望に溢れた輝かしいものになりますように。
どうぞ皆様、良いお年をお迎え下さい。

アトリエ・ミオス代表 小原 京美

コメント
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