駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

長寿国を支えられるか

2020年12月09日 | 世の中
        

 午前中診察した患者さんの年齢を眺めると十人に一人が九十代になっている。長く診療していると長く通院される患者さんも多くなるので当然のように思えるが、実はこれは長生きする患者さんが増えたということで、十四、五年前までは九十の坂を越えられる人は少なかった。八十半ばまではまずまず元気でも、八十代後半亡くなくなられる方が多かった。
 今や日本は世界の中でもトップクラスの長寿国になった。なぜ長生きの人が増えたか、様々な要因があるのでこれだと一つの要因を挙げることはできないが、何といっても生活環境に恵まれているということが一番大きいだろう。格差が拡大しても衣食住に事欠く人はほとんどおられない。誰もがほぼ十分な医療が受けられる仕組みができている。介護システムは献身的な人達(多くは女性)によって機能しており、老人の一人暮らしにも様々な援助がされている。
 街中の診察室に座って世の中を感知しながら、問題山積の内閣の挙動を見ていると、全体を総合的俯瞰的に見る力が不足していると感じる。
 世界的な長寿国となった日本を支え続けるのは新型コロナでより一層難題となってゆくのだが、首相は携帯料金値下げ、ゴーツートラベル、オリンピックに固執して全体を総合的俯瞰的に見ようとしない。見る能力がないのかもしれない。
 日本は自助共助は十分できている気がするが欠けるところがあるとすれば、それは優れた人物を公助に担ぎ出す作業だと思う。
コメント (2)
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