駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

難題山積の新型コロナ対策

2020年07月21日 | 小考

            

 

 東京都の新型コロナ検査の陽性率がようやく毎日発表されるようになるらしい。

 日本は決して先進国ではなく、危機管理に優れているとは思えない。今のところまずまずに見えるのは民度が高く大人しい国民性と目を逸らせるのが上手い官邸の戦略によると思われる。

 新型コロナの性質はかなり分かってきたが未だ未だ不明の点も多い。確実なのは十一月以降寒くなるとインフルエンザが流行することだ。コロナも寒冷乾燥期には感染が広まりやすくなると予想されるので、医療機関は対応が難しくなる。新型コロナとインフルエンザを臨床症状で鑑別するのは困難で、迅速検査が必要となる。インフルエンザ診断は前線で簡単にできるのだが、新型コロナが混じっていると検査施行時に医療者に新型コロナが感染するリスクがあり、インフルエンザ検査に二の足を踏む医療機関が多いと予想される。そうすると、二十年前はそうして診断していたのだが、臨床症状で診断してインフルエンザの治療薬を出すことになるだろう。その場合は薬を所望する患者が多いだろうから使わないよりは使う医療機関が多いと思う。使い過ぎは個々短期では実害はなくても全体長期では耐性誘導で薬が効かなくなる恐れが出てくる。間違って新型コロナにインフルエンザ薬を出してしまい診断が遅れることも起きるだろう。今のところ唾液利用の新型コロナの迅速診断キットやワクチンが間に合うとは思えないので、医師と医師会への指針が欲しい。

 しかし首相も厚労相も、形勢不利とみるや口が達者な西村さんを矢面に立たせて雲隠れしてしまう。痩せぎすではあるがタフな西村さんは弁慶の立ち往生覚悟で頑張っておられる。なるほど?の構図だが時間稼ぎにはなっても、良い対策を生み出すやり方とは思えない。

 あと三か月しかない。今までの三か月を振り返れば、ごちゃごちゃ混乱のまま十一月を迎えそうで背筋が寒くなる。決して一生懸命頑張っていないとは言っていない、台湾韓国ベトナムドイツ・・にできることができないのはおかしいと申し上げている。

コメント
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