駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

治勲さんは強かった

2016年11月24日 | 趣味

      

 北国では雪模様、当地も今朝は冷たい雨に風もあり、小学校一年生なら半べそのお天気であった。もう蛇の目の母さんが居るわけもなし、前期高齢者は肩口と裾を濡らして、やれやれと出勤してきた。

 治勲さんは強かった。囲碁電王戦でAIのDeepZenGoに二勝一敗で勝利した。趙さんはと言えるほど碁が分かるわけではないが、治勲さんの解説は最高に楽しく面白い。好きな囲碁棋士は数多いが、趙さんは別格で素晴らしい人だ。AIと思わず強い碁打ちと感じながら対戦できたと感想を述べられたが、そうした感性も勝因の一つだろうと推測する。

 不思議に思ったのはDeepZenGoが布石が強いということだ。将棋のAIは序中盤はさほどでもないが終盤が非常に強く、寄せに入るとトッププロ棋士でも勝てない。それは計算が出来る範囲に入るからだと理解していたのだが、碁では布石が強いというのはどういうわけだろう。どうもディープラーニングと言う手法が効果を上げているらしい。棋譜を並べるという勉強法は人間もやり、序中盤の力を付けるのに役立つようだが、人間は並べてもせいぜい数千局なのをAIは何万何十万と瞬く間に並べて学んでしまうらしい。そうして学んだものを参考に更なる妙手をひねり出すという。とんでもない奴だ。まあ出藍の誉れと思えば良いのかも知れないが、ちょっと恐い気もする。

 聞き手の吉原由香里さんはどうも解説の井山六冠にミーハーな質問をして、肝心の碁の解説が疎かになりそうで、イエローカードを出したくなった。まあ、碁に詳しくない人に興味を持たせる意味ではよいかもしれないし、井山六冠の人柄が窺い知れたのは良かった。

 趙さんはDeepZenGoは愚かしい手も打って人間味があると感想を述べていたが、愚かしいところがあるのが人間というのは言い得て妙で、人間の一番の特徴かも知れない。 

コメント
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