駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

遠くを見て動く

2016年10月30日 | 医療

          

 人間の距離や時間感覚は、個人差はあるが身近な日常から形成されると思われる。建築家や医者そしてパイロットや新幹線の運転手は職業上、違う感覚を身に付け得るが、普通は二三週間、十数キロが日常の感覚範囲だろう。海外旅行に行くとか、車を買うなどといったことは特別で、具体的な計画が立てられるから、かなり先や遠くを感じ考えることが出来る。

 確かに先のことはわかりにくいのだが、先をみて行動しなければならないことはたくさんある。たとえば病気(生活習慣病)は、十年二十年先を考えて治療してゆく必要がある。高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎炎・・・などは自覚症状はなくてもきちんと定期的に通院して管理してゆかないと病気が進行したり合併症が出てきたりする。残念ながら、二三割の人は自覚症状がないからと脱落して行ってしまう。勿論、病気は百パーセント防げるのもではないが、きちんと管理すれば健康寿命は延びるし、不幸な事象を減らすことが出来る。厚労省が保険で認めている現代の医学には、きちんとした証拠がある。医学というのは工学などと違い計算式に追い込めないものも多いが、統計的に処理がされて良い治療が選択されている(中には希にインチキをする研究者も居るようだが)。

 要するに概ね正しいというか、現時点で最善と考えられている指針が出ている。だから自覚症状がないからと、健診などで指摘された異常を放置するのは賢明とは思われない。長い先を見て行動することが大切と思う。これは医療に限らない。ただ、世の中は十年先はわからない、五年先もはっきりしない。ただ、みなさん、それまで元気で生きていて確かめたいと思われるのではと思う。

コメント
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