街中で内科診療をしていると様々な病気を診ることになる。中には自分の守備範囲を超える病気や病態もあり、そうした患者さんは専門科や総合病院へ紹介することになる。だいたい毎日一枚紹介状を書く、そして週に一人くらい人院を要する患者が出てくる。
紹介状は数行で、特別な場合を除いて簡潔に書いている。細かく書く時間もないし、読む方も長いと大変だろうと思うからだ。返事も八割は簡潔なものだ。中に二割ほど詳しく丁寧に書かれているものがあり恐縮する。その多くは女性医師で、彼女らのきめ細かさ心配りを感じる。
書状というものは簡潔であっても、どこかに人となりが現れ、またこの先生にお願いしよう、あるいは希ではあるがこの先生は御免こうむりたいと感じさせる。
この辺りは自分は病気かもしれないと思うこともあるが、女性医師だと名前に想像を逞しくすることもある。名前なんて符号だという人も居るが、そうは思わない。この頃は子の付かない名前も多く紗、映、佳など美形ではないだろうかと勝手に想像してしまう。そういえば「君の名は」という映画が人気の様子だ。
まあ、天が二物を与えることは多くはないから、実際にお会いすると息を吐くこともあるのだが、何度も紹介状のやりとりをし、事務的な内容のどこかになんとも丁寧で優しい感じがすると、一度直接お礼を申し上げたくなる。彼女達は殆どが若く部長クラスではないので、お会いする前に移動というか転勤がありついに未見に終わることも結構ある。
一寸考えれば分かることだが、世の中未見に終わることの方がうんと多い。会うあるいは見ると言うことがどれほどの重みを持つものか、百聞は一見に如かずには単なる知識以上の感覚のことを言っているのかも知れない。不思議なことだがお会いすると分かったような気がする、高々数分で本当に分かるとは思えないがストンと納得するのは間違いない。
果たしてブログでお知り合いになった方にお会いする機会があるだろうか。