駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

ノーベル賞受賞研究の背景、大隅先生の場合

2016年10月04日 | 人物、男

                
 

 ノーベル医学生理学賞が東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏に授与されることになった。未知の方だが、周辺の声をネットで拾い集めると、どんな方で業績を挙げられた理由がなんとなくわかる気がした。

 奥様の万里子さんは「夫はいいかげんで不思議な人。ずぼらで適当なのに、どうして実験がうまくいくのか、不思議で仕方なかった。私の方がよっぽどきちんとしているのに」とおどけてみせた。

 研究に忙しい日々を送ってきた夫は、日曜日など家でぐったりしていることも多かった。それでも、息子たちが幼いころは一緒にカブトムシを取りに出掛けるなど子煩悩だった。また、家で万里子さんの眼鏡をいたずらで隠すなど、ふざけるのが大好きだという。「漫才みたいでしょ。私がぼけ役かな」と笑う。大隅さんの趣味は焼き物で、集めた皿などを家の中に並べている。庭の草抜きやこけ取りも好きで、前日の2日も何時間もかけて袋6個分の草やこけを取った。「リフレッシュできるんでしょうね」と万里子さんは言う。酒もリフレッシュの手段で、晩酌の缶ビールは毎日欠かさない。ウイスキーも大好きで人に贈ったりもする。夫婦げんかはほとんどないという。「価値観が同じなんでしょう。お金や名誉が欲しいわけではないし」。 

 大隅良典さんの共同研究者、大阪大教授の吉森保さんは大隅さんはおおらかで懐の深い人。研究好きで優しく、怒鳴り声を上げたりもしない。『好きにやったらいいよ』と言われ、自由にやらせてもらった」。狭い宿舎で鍋パーティーを一緒にしたのが思い出に残っているという。

 大隅さんは研究について、人がよってたかってやっていることをやるより、人がやっていないことをやるのがとっても楽しいと思っていて、それはある意味でサイエンスの本質みたいなものだと思います。「誰もやっていないことをやった」という喜びが、研究者を支えるんじゃないかと常に思っています。と答えている。また、ノーベル賞については子どもの頃「研究者になりたい」と思った時の一つのあこがれみたいなものとしか申し上げられません。小さい頃から研究者にあこがれてきたので、そのいちばん先にノーベル賞があったと思います。ただ、先ほど申し上げたとおり、実際の研究をスタートしてからは「これがノーベル賞につながる研究だ」などと思ったことはほとんどありません。正直な気持ちとして言いますが、そういうこと(ノーベル賞)が励みになったこともほとんどなかったですと答えられている。こうした方の誰もが栄誉に恵まれるわけではないが、なんだか嬉しく共感できる方だと感じた。

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