駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

話題?の医師本を読む

2014年01月02日 | 

                           

 休みで時間があるので普段読まない本を読んでいる。鎌田實氏と近藤誠氏、このお二人には現場第一線の医師として多少違和感を持っていた。といっても、きちんと著書を読んだわけでなく断片な発言、見出しそして同調的あるいは批判的発言からの漠然とした感覚を持っていたに過ぎない。鎌田さんの「〇に近い△を生きる」や近藤さんの「抗がん剤だけはやめなさい」が代表的な著書かどうかは知らないが最近の文庫本として購入してきた。

 近藤さんも鎌田さんも教祖的なところがあり、信者のような患者さんも多いらしいのだが、医療関係者の扱いは異なり、近藤さんはとんでもないけしからん奴だという扱いをされてきており、鎌田さんは叩かれることは少なく、なるほどの方法として好意的に受けいれられてきたようだ。

 そうした扱かわれ方が著者の姿勢に表れている。人はなかなか唯我独尊とは行けず、他者の反応に反応してしまう。近藤さんは批判に身構えて持論を展開している。近藤さんの主張は論理的でデータを根拠にして緻密で筋が通っており、この本を読む限り特別奇矯とは思えない。牽強付会な主張に感じられるところもあるが、暴論と叩かれてきた反動からか表現の仕方の方に問題があると感じた。医薬業界は沽券と利益を傷つける者を排除しようとするので、噛み合った議論が拒否されてきたようだ。頭からおかしい主張と否定できない内容があると読み取った。

 〇に近い△の方は本の選び方を間違ったのか、なんだか鎌田先生は酔っぱらっている(自分に酔っているところはありそう)のではないかと思ったほど、話があちこちしている。近藤さんと違って総論的な生き方の話しで、これに目くじらを立てる人は殆どいないと思う。だから賛成かと言えば、第一線の医師としてはどうも物事はそう簡単にはいかないのではないかと感じた。それに〇とされている選択がどうも私には〇と思えないものもあった。

 たかだか著書を一冊読んだだけで、結論めいたことを言うのは行き過ぎかもしれないが、プディングの味は一口でわかると言うし、情報の溢れる現代では一人の主張にさほどたくさんの時間を避けないのが現実で、自らの判断基準を得たと言えると思う。どうもお二人に対して漂よっている評価は上滑りで、きちんと著書を読まずに醸し出されたもののようだ。

 

 

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