安野光雅さんを何十年前から不思議な絵で次いで日曜喫茶室の声で知っていた。感じのよい絵、ワンテンポずれた面白い人程度の認識だったのだが、高峰秀子さんがお気に入りの男の松竹梅に入れているので、これは何かあるなと著書を買って読んでみた。
「絵のある自伝」は何とも正直でほんわかしているのだが、背後に気骨を感じさせる本だ。この本でなぜ光雅という似つかわしくないが身を助けた?名前を持っているのかが分かった。否、今では名に相応しい人になられたと申し上げよう。
楽しい?本面白い語り口は絵を裏切らず、絵を一層味わい深いものにしてくれた。そして改めて、当たり前といわれそうだが安野光雅さんは絵が一番だと思ったことだ。何にしろ自分を表現する世界を持っているのは素晴らしい。まあ、ちょっぴり羨ましくもある。
手ごろな値段で気に入った安野さんの風景画を手に入れて医院に飾りたいと思う。