駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

何年やっていても

2012年03月14日 | 診療

     新しい絵を描き始めた、どうなってゆくか。

 もう何十年も患者さんを診ているが、いまだに不用意な一言で患者と気まずくなることがある。医者は比較的強い立場(この頃はそうでもない)に居るので、配慮が足りなかったかと思うこともある。

 午前中に五十人以上患者さんを診ることは冬の繁忙期以外は月に二三回でさほど多くはないが、こうした混雑時は流れが大切で、雑談などで頓挫しないように注意している。込んでいれば雑談を端折っても不快に思われる方は殆ど居られないので、さっさと診させていただくのだが、時々症状の説明がまどろっこしいというか、自分の解釈を話される方が居られ、ついイラつくことがある。

 六十代の中肉の男性が入って来られ、開口一番「胃が重たい」と言われる。いつ頃から、どんなふうにと聞くと、「退職したもんで家に居るんだが、家内が歩いた方がいいと言うんでね・・」。と始まる。ついいらいらして「そんなことは聞いてない、何時からですか」。と声を荒げてしまった。こうした患者さんは自分でストーリーを作り上げている。話の腰を折ってポンポンと質問して、二か月ほど前から散歩を始めたら、一昨日から胃がもたれるようになったので診てくれということがわかった。食事は食べられる。体重減少はない。食後臍の上辺りが重い感じがする。便通に異常はない。息切れはない・・を聞きだす。

 診察をして考えられる病気を挙げて説明し、検査の予約をして薬を出した。聞いてはいるのだが「はい」。と返事をしない。どうも御不満御不快らしい。あとは看護師にまかせたのだが、こういう症例は後でごたごたすることがあるので言葉遣いが拙かったかなあと、こちらもザラついた気持ちがした。

コメント
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