駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

永遠の罠

2011年06月13日 | 医療

 

 晴れた日には永遠が見えると聞いたことがあるが、永遠は無限に似て、決して人間が生きて味わうことのできない世界のはずだ。とはいうものの人生は短い?せいか、一生を通してあるいは人生を貫いて何とかということは、三つ子の魂百までもと言われるように、決して珍しいことではない。

 とまあ、大上段に振りかぶって書き始めたのだが、エディットピアフやスキーターデイビスの歌う愛を語ろうというわけではない。毎日、診察室で交わされる会話を思い出しながら、相も変わらぬ永田町の得意技を思い出しながら、ちょっと大袈裟な連想が働いただけだ、。

 日本人には欧米人のように航空母艦のようなBMIが35を超す極端な肥満は少ない。残念ながら、だから大丈夫とは行かないことが、明らかになっている。日本人の場合は小太りでも肥満による弊害(動脈硬化進展など)が出現する。BMIが27程度で、肥った大変と騒げば、欧米ではちっとも肥っていないのに何を騒いでいると怪訝な顔をされてしまう。しかしながら、日本人の場合は要注意なのだ。

 155cmで65kgのおばさんや167cmで75kのおじさんに、まず3kg痩せて下さいと、殆ど毎回口酸っぱくお願いしいろいろなパンフレットを渡しているのだが、「頑張ってます」。「それはもう頂きました」。と何だか注意する方に問題があるような問答を何十回と繰り返して、一向に体重が減る気配のない患者さんがほとんどだ。政治家の得意技、先送りと同じで、一体いつまでこんなことを繰り返すのだろうかと思ってしまうわけだ。

 きっと患者さんは、明日からダイエットするから今日はいいやを繰り返されているのだろうと想像している。恐ろしいことに先送りにすれば際限なく、そのまま人生の終点まで行き着いてしまうのだ。

コメント (2)
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