駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

通院が途絶える時

2011年06月07日 | 診療

  「この頃妹さん、受診されませんが、どうされたのでしょう?」ときちんと定期的に来院されるお姉さんに聞いたのは前回。姉妹と言うと何となく色っぽいのだが、72歳と67歳。

 昨日、お姉さんが受診され「連休でここが休みだった時に、腰痛がひどくなって、なんだか近所のお医者さんに掛かったんですって。(当院もご近所なんだがなあ)。N総合病院の整形に紹介してもらい、それで戻れなくなったみたい」。「ああ、そうでしたか」。(何時でもN総合病院の整形に紹介すると言ってたあじゃないか。整形の部長は後輩でよく知って居るんだが、残念)。

 こうしたことは、年に数回ある。何処へ変わられたか分からないことも多いし、医者に通うこと自体を止めてしまわれる患者さんもおられる。高齢の患者さんの場合は、急に悪くなって総合病院へ担ぎ込まれ、亡くなられていることもある。そうした場合は、電話での一報やお礼かたがた家族が報告に来られるのでわかることが多い。

 面白いことに医院を変えた患者さんでも女性の患者さんは、むにゃむにゃ言い訳ともつかぬ事を言いながら、結構戻ってこられる。男性患者で医院を変えてまた戻って来られる方は稀だ。この辺りの理由は定かではないが、たぶん男の方がきちんとした変える理由があることと、戻って来たくても罰が悪いと感じやすいため、だろうと思う。

 私の場合は、他の医院に定期的に通っている患者さんは戻すようにしている。中には風邪で受診した機会に本当はこちらに変わりたい患者さんも居られるようだが、患者さんが思いきって切り出さない限り、「では、どうぞお大事に」。と帰している。

 患者さんにとって、掛かり付けの医者を変えるには相当の勇気というか踏ん切りが必要のようだ。ある程度の敷居があるのは自然なことだと思うが、裏で医者同士であの患者はけしからんというようなことはあり得ないので、ご心配なく。尤も、十軒も医者を変えれば、話題に上がるかも知れない。

 患者と医者には相性があるので、時に変わることは自然なことだ。ただ、医者が気を悪くするのではと、気兼ねして通い続けることはないと申し上げたい。それと女友達の推薦も話半分でしょう。好みは違うのが普通。旦那を比べればわかる?!。

コメント
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