玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

塚田新市氏のこと

2005年03月26日 | 捨て猫の独り言
「くしきの六期二十四年」は291ページの自費本である。鹿児島県串木野市長を退任して7年後に出版された。この本のずしりとした手応えは、上質紙のせいばかりでなく、氏の実績の内実の重さから来ているように思われる。昭和46年に56歳で市長に就任。直後から手がけたのが、串木野新港、漁港外港、地下石油備蓄基地、中核工業団地、公共下水道処理施設の五つのプロジェクトである。これらは後に、日本計画行政学会が選ぶ「計画賞」の最優秀賞になった。いかにして、国県に働きかけ、市・市議会および串木野市民が一致協力して、大事業を成し遂げたかが、つぶさに記されている。

塚田語録

こんどの市長は、職員にきびしすぎる。課長達も市長の前に出ると、萎縮して思っていることの半分もいえない。市長と助役だけがいきりたつばかりで、仕事は空回りしている。職員はついていけない。と、ざっとこんな批判が、ちらほら聞こえてくる。串木野市職員は、いま倍増の仕事を抱え、自ら鍛えつつ急速に成長しつつあると思う。しかし自己満足はいけない。わが串木野は豊かさを求めて更に飛躍しなければならない。そのために全職員が持ち場、持ち場でアイデアを生み出し、論議をつくし、実現に向かって、助役や市長を駆りたてる気合、気力を漲らせる、すると職場に、きびしさのなかに楽しさが生まれるであろう。市民の側に立って、全職員が仕事の実現のために、市長に挑戦することが市勢発展の本道であることを強調したい。そうなることこそ、市民の皆さんの期待でもある、と信じたい。

真に保革無所属の心情こそ地方自治の本道であると思う。保守に徹することが革新に通じ、革新に徹することが保守に通じる。つまり、市民福祉に徹することである。

一般に反対意見がなければ議会は何をやっているんだとみられる風潮がありますよね。しかし、私に言わせれば、「まず反対ありき」の議員こそ、がんたれ議員ですよ。議員の質は、彼らが、その事業の内容を理解しているかどうかにかかりますな。そういった意味では議員に恵まれました。

財源の配分など行政システムから見れば、確かに三割自治かもしれない。それでも、市町村は県政や国政を具体的に展開する場なのだとの立場に立って、これらの仕組みを最大限に利用すれば市民生活の幸福は実現できる。首長の手腕一つで、三割自治どころか五割自治にも、十割自治にもなるんですよ。

発刊に寄せて

私は相撲道に精進して、今日まで六十年になります。生涯の唯一惨敗の市長への挑戦がより私を心豊かにしたのです。今静かに己を省みることができます。本当に凄いそして強く逞しい方に出会ったことを終生の私の誇りとし、感謝の意を表します。(元串木野市議会議長・北山信義)

苦学力行、という言葉はもう今では死語に近いが、塚田さんはまるでその手本のような青年時代を過ごし、その間に鍛え上げた精神と肉体が六期二十四年の全力投球を支えた。新たな行政課題についてはもちろん、外国語にしても、激務の中でこつこつと寸暇を惜しんで勉強する。挨拶文は一字一語を丹念に吟味する。英国や中国との交流事業などでみせた天性の国際感覚と実行力、それらを裏打ちする、しつこいまでの緻密さ。近年鹿児島では得がたい個性を備えた指導者のひとりである。(南日本新聞社社長・大園純也)

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