玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*虚無の信仰

2018年07月02日 | 捨て猫の独り言

 だいぶ前に買った「虚無の信仰ー西欧はなぜ仏教を恐れたか」を読んでみる気になった。著者はロジェ=ポル・ドロアで2002年に日本で出版。宗教学者の山折哲雄氏がフランスに出向いた折に、この本を見出したという。帯には「異文化誤解の歴史の謎に迫るフランスのベストセラー」とある。

 いきなり「はっきりさせておこう。仏教は虚無の信仰ではない」で始まる。19世紀のヨーロッパの哲学者たちの誤解を検証した本だ。「涅槃」と魂の消滅を結びつけ、仏教を虚無の思想としてとらえる。あるいは仏教はペシミズムと結びつけられ、キリスト教の生と密着した肯定的な秩序に対立した思想とみなされるなどの誤解があった。

 

 「空(くう)」についてのつぎのような解釈を紹介している。中道とはどちらにもかたよらないということではない。空は運動である。肯定と否定のあいだに通路を切り拓き、対立する諸命題のあいだを縫って進み、その対立に巻き込まれない「場所」を確保することである。この対立物を避けていくことによって、空に接近できるのだ。どこまでも空は難解だ。 

 Wikipediaの無神論の項目を見た。仏教は宗教学の類型では無神的宗教と呼ばれ、無神論とされることが多い。フォイエルバッハやフロイトのように神を人間の発明とする考え方は、仏教に通じるとされる。ショーペンハウアーは仏教を「完璧」と言ったことがあり、エンゲルスも部分的ではあるが仏教の空を評価した。

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