玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*上間陽子さん

2022年09月12日 | 捨て猫の独り言

 米軍支配が続いた戦後の沖縄では製造業が発展せず、ブルーカラーの労働者の多くは建設業に就くしかない。本土復帰から50年の沖縄は県民所得は全国最低水準で、貧困の連鎖が顕在化している。沖縄的な共同体からこぼれ落ちた人たちの現実に目を向ける人たちがいる。

 教育社会学者で琉球大学の教授である上間陽子(1972年生まれ)さんは2017年に「裸足で逃げる」を2020年には「海をあげる」を出版し、昨年5月にはそれらが評価されて第14回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞した。そこでは「暴力や貧困の中の若い女性たち、軍機の爆音の下で沈黙する人々の、聞かれることのない声にひたすら耳を傾け、それを言葉にすることによって、こぼれ落ちるものを記そうとしている」と評価された。

 副賞の100万円は、その秋に沖縄に開設された10代で妊娠・出産した少女たちを支えるシェルター「おにわ」の準備金になった。施設名は「おきなわの」「にんしんしているおんなのこたちを」「わになってまもる」。三つに区切ったフレーズの頭文字をつなげたものだという。なんとすごい行動力だろう。(ハギとアベリア)

 

 今年8月24日の新聞で上間さんはつぎのように語っている。沖縄での生み育ての領域は脆弱です。復帰後も、本土では整備されたものが抜け落ちたままで来た。まずは沖縄の行政に改善を働きかけますが、本来は国がやるべきこと。でも、もう国が何かしてくれるという期待はありません。私はせめて目の前にいる人を何とかする。「おにわ」での実践があるから、この現実に絶望せずに気が紛れます。

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