早朝の4時。朝一番の手順に従って窓をあける。庭や道路向いから数戸軒を連ねた緑道の方から ”チッ チッチ チッ” と小鳥の囀る声が賑やかしい。洗面に向かえば裏庭の垣根に沿った木々の間からも同様のさえずりが聞こえる。イヤそれ以外は何の物音もしない。心地よい冷気の中で小鳥たちが全てを支配し、満喫している。
知人の中に小鳥に詳しい人がいる。彼女はさえずりを聞いただけで小鳥を識別できる。私は姿を見てもなお言い当てない。最近この地域に係っていらした人が、私費を投じて緑道沿いに「オープンギャラリー」を作り、植物や鳥達の生態をプロ級の写真と解説付きで展示して下さっている。予告に従って展示は入れ替わり常に ”今 この時期” を写し取っていて興味は尽きない。よき解説を得て私は益々緑道を好きになり、モット知りたいと思う。(仙台にて ユリネラン)
目覚めたばかりの幼子は体を大人に預けたままボンヤリ庭を見やっていた。動く者に対して目敏い幼子は小鳥が視界に入ると途端に目で追いはじめた。小川のせせらぎや鳥たちの囀りの交歓。風の頬をなでる感触や木々のざわめきなど。限りある時間の中で精一杯与えたつもりだが、幼子の記憶のどこかに仕舞われているだろうか?たまにはそんな時間を持ててるのだろうか?