玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*壁も扉もない教室

2008年05月13日 | 捨て猫の独り言

 子供の日の夜にTBSテレビで放送されるという間接の連絡が入った。番組表を見るとNEWS23の後半に 「壁も扉もない教室が変える教育」 という表題がある。いつもは寝ている時間だが眠さこらえて0時半までテレビと向き合っていた。30分だがこの春に竣工した富山市立芝園小中学校の新校舎が紹介されていた。

 その設計の中心者は工藤和美である。1960年生まれ、設計事務所シーラカンスの取締役であり東洋大学教授でもある。学校をつくろう!ー子供の心がはずむ空間(TOTO出版)などの著書がある。95年の千葉市立打瀬小学校は日本建築学界賞、大型プロジェクトとなった01年の福岡市立博多小学校は文部科学大臣奨励賞を受賞した。ここは今でも見学者が多いと聞く。それに続くのが今回の富山市である。

 番組では新しいタイプの校舎に踏み切るまで教職員や地域住民の不安や提案なども紹介された。おおぜいの児童生徒の工作物が建築の一部にくみこまれたりした。デザインの力が学校を変えると工藤は静かに主張する。これまで学校設計に予算をかけなかったため全国どこでも同じような校舎になった。住宅では当たり前のことが学校では切り捨てられているというのが一児の母親でもある工藤の視点だ。

 例えば福岡市の場合の学校建設の進め方を見る。建築専門家や地元代表を交えた、博多小学校設計者選考委員会が発足し、委員らの推薦により競技参加者5人が決定された。その各競技者からの提案書を公開発表して設計者は工藤に決定された。それにしてもまずはクライアントである自治体の勇気ある決断がすべての始まりである。それと出会えた設計者は幸いである。私の家のすぐ近くに私立の白梅学園清修中学校が昨年発足した。その新校舎の設計も工藤である。そこの教頭が熱烈に工藤を指名したと聞いた。

 

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
鉄筋校舎は30年で建て替えるとして、日本はまも... (それは何処ですか)
2008-05-15 09:22:07
鉄筋校舎は30年で建て替えるとして、日本はまもなくそのピークを迎えるのだそうです。これを機会にいい校舎に変わるといいですね。お孫さんの学校は何処でしょうか。差し支えなければついでの時にでも教えて下さい。私の知る学校でも小学校と中学校の校舎に大きなギャップがありました。中学生よ荒野を目指せということでしょうか。
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 全国レベルのコンペに積極的に参加する設計者を... (ねったぼ)
2008-05-13 21:21:01
 全国レベルのコンペに積極的に参加する設計者を母に持つ一人っ子は時に淋しい。見かねた叔母達は博多から東京へと娘の家の隣に転居しました。その建築家はいとこにあたりますが、ヘルメットを着用し現場を回る姿を今回初めて見ました。映像でも伺えましたが、穏やかな優しいお母さんです。
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孫の小学校がまさに仕切りがあるだけの建物だった... (reiko)
2008-05-13 20:27:33
孫の小学校がまさに仕切りがあるだけの建物だった。エレベーター付き、足に支障があった母親にはありがたかった。ローカらしき場所にはテーブルと椅子もあった。授業参観では隣も丸見え。のびのび、おおらかな気分になる。中学に進学した子供たちは、ずいぶんとまどったという。中学校は旧来の建物だったから。
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