高校卒業後に私が身近に感じた短歌と言えば 「銀(しろがね)も金(くがね)も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも」 である。植木等の歌を通してこの歌が万葉集にあることを教えられた。その短歌のあとに例の調子で ♪植木等の学のあるとこ~♪ と続く。そして現在は日本において短歌を詠む人の数が増えつつあるというのが私の見立てだ。
ラジオの 「土曜の夜はケータイ短歌」 という番組をたまに寝床で聞くことがある。若者が中心に投稿している。素直に自由に気楽にそれぞれの想いを表現している。そのことに触発されたかどうかは定かでない。そしてこともあろうに自分がこれまで試みたことのない短歌創りを実践してみる気になった。職人さんがこつこつ修業して腕を上げるようにこんな自分でも継続すれば何とかなるのではないか。まずは踏み出してみよう。しかし確信が持てずに本気ですかと自問自答している。携帯を所有していないこともあってラジオ番組と関係することはしばらく敬遠することにした。
手元に週に一回掲載の歌壇の新聞切抜きが3枚あるからこの思いつきは3週間前に浮かんだ。我が家の新聞の歌壇の選者は私の知る俵万智さんを含めた四人である。葉書き一枚に一首希望選者を書いて投稿することになっている。「けさもまた載ってませんねと妻の声いっぺんきみも参加してみな」 という作品がその切抜きの中にあった。私も肩の力を抜いてぼちぼち参加させていただきますといった気分である。そのうちにと思っているがまだ投稿はしていない。
つぎのようなものがこの一週間でひねり出された。かなり我流で初級者によるものをここに公開することにした。
●孫一歳しぐさ真似よと挑みきてパントマイムに食卓弾ける
●悲しみなど知るべきもなき一歳児の子守の後にいとしさ募る
●途切れなき玉川上水に助けられ自転車通勤片道三里
●木犀の香り濃くとも桂林の旅の記憶は薄れに薄れ
乳を飲むみどり児の足力込め小さき親指ママの膝蹴る
孫誕生の時の歌です