玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*鈴木邦男の著作(上)

2023年04月17日 | 捨て猫の独り言

 私は、鈴木邦男さんとほぼ同時代を生きてきた。その鈴木さんが今年23年の1月に79歳で亡くなった。「週刊金曜日」で2020年から30回続いた連載「ハンセイの記」を読んでその存在を知った。その連載を終えて最後の2年間は体調を崩していたようだ。

 4月2日に「鈴木邦男さんを偲び語る会」が開かれたという。参加者の顔ぶれがすべてを物語る。田原総一朗、佐高信、武田砂鉄、松元ヒロ、麻原彰晃の三女松本麗華、有田芳生、吉岡忍、森達也、雨宮処凛などだ。

 鈴木さんは新右翼「一水会」の元代表である。さすがに偲び語る会には民族派の団体の参加はなかったと思う。「テロ反対」の先陣を切った鈴木さんは右翼からの評判はすこぶる悪かった。右であれ左であれ大切なのは人間性だと分かるのに何十年もかかったと語る。そして「言論人」として生きた。親しかった姜尚中さん(72)は「含羞の人。そこが好きでしたね」と述べている。

 彩流社から15年に出版された「新右翼最終章」を読んだ。初版が1988年で再版を重ね27年にわたる民族主義運動の現状報告の貴重な記録だ。鈴木さんは早大進学時に、信徒だった母の勧めで新宗教「生長の家」の学生寮に入った。朝5ま時前に起床。祈り、講話、国旗掲揚、体操、掃除と続いた。同期の大半が退寮する中、それでも残った。それとは対照的に、私は騒然とした社会の雰囲気の中で目標をもてず、下宿の部屋でずるずると怠惰を続け自らを袋小路に追い込んでゆくような情けない生活を長く続けていた。

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