玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*生きるLIVING

2023年04月13日 | 捨て猫の独り言

 立川の昭和記念公園の開場は8時半だ。その「あけぼの口」に自転車を止めて10分歩くと映画館に到着する。ノーベル賞作家のカズオ・イシグロ脚本の英国映画「生きる LIVINNG」を見た。黒澤明監督の「生きる」のリメーク版だから、それとの比較が楽しめる。平日の早朝で客席はまばらだった。

 舞台は日本から英国に変わり、時代設定、あらすじやテーマは同じだ。映画は煙を吐く通勤列車を上空から斜めに見下ろす印象的な映像で始まる。映画では、この鳥瞰するカメラアングルが多用されていたと思う。鳥の目でなく絶対者の目かもしれない。通勤列車の仕切った区画には、主人公の4人の部下たちがいつも乗り合わせる。

 黒澤映画では通夜の席の酒盛りの場で主人公を偲ぶのだが、リメーク版ではそれが列車のコンパートメントになる。無表情で淡々と仕事をこなす主人公に部下たちがつけたあだ名は「Mr.ゾンビ」だ。主人公がスコットランド民謡の「ナナカマドの木」を歌う場面は2回ある。

 

 1回目は自暴自棄になり盛り場をさまよい、酔った主人公ウイリアムズ(ビル・ナイ)が、酒場で(亡き妻を思いながら?)絶唱するナナカマド、それから命を懸けて完成した子供たちの遊び場のブランコで、ナナカマドを歌ううちに、雪降る中で絶命するのが2回目だ。期待を裏切らない出来に私は満足した。

コメント
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