玉川上水オープンギャラリーの友の会は日曜日の午前中に隔週開かれる。まず鈴木さんからギャラリーの展示写真について一通りの説明がある。そのあとギャラリーを出て鈴木さんを先頭に90分ほど緑道を散策するのが慣わしだ。ミニ観察と呼んでいる。昨日25日は二十四節気の穀雨の最初の日曜日だった。この日の散策の目的地は上水新町にある地域センターである。若葉が生茂りはじめ、暖かく晴れてめずらしく若い人の姿も見える。いつもより参加者が増えている。
当初ミニ観察はエナガの予定であった。ところが鈴木さんが発見しているエナガの巣は遠すぎるのでこの日は、みんなでそこまで出かけるのは断念せざるをえないという。ギャラリーで格安販売されている葉書大写真の中に圧倒的に人気の一枚がある。巣立ちしたエナガの8羽のひなが横一列に詰めて並び中央の2羽が口を開いて親鳥から餌をもらっている写真だ。これは07年に撮影したものだ。今年の巣立ちはこれからで鈴木さんはここ数日はエナガの巣から目が離せない状況という。
地域センターでは例年にない数多くのキンランが顔を出しているという。それを見に行こうというのだ。キンランの花はゴールデンウイークの頃に咲く。盗掘されて数少なくなっている貴重な野草だという。散策の途中にイヌ桜の前などでは立ち止まって鈴木さんからの説明がある。参加者の歩きながらのおしゃべりの中にも私には有益なものが多々ある。二週間前に観察したフデリンドウはまだ可憐な姿を見せていたが、花の命は短くて、チゴユリはもう見頃を過ぎていた。目的地に着くまでにも、開花前のキンランをいくつか見かけた。柵の近くにキンランがあれば掘られて持ち去られないようにと心配する声が上がる。
5月5日はもう立夏だ。穀雨のつぎの立夏の展示は「夏の野草」と題する鈴木さんの鉛筆画である。先日は緑道端でフデリンドウを描く鈴木さんを見かけた。つぎは花開く前のハルジオンを描くのだとはつらつとしている。この時期の玉川上水にはまもなく北に帰るツグミなどの冬鳥と、子育てのため南から日本に戻ってくるキビタキなどの夏鳥が混在する。一年の中でも数多いこれらの小鳥のさえずりを聞くには午前8時頃に歩くといいらしい。この時期はコゲラ、ヤマガラ、シジュウカラが巣作りを始めている。ひと足早くエナガとモズは巣立ちの時期を迎えている。これがほぼ同時期なので、今年はエナガの巣立ちを追跡し来年はモズを追跡することにしたという。