玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

ハンセン資料館で花見

2010年04月01日 | ねったぼのつぶやき

 月始のミーティングで年中行事の段取りは組まれる。外出を伴う行事は外気温や天候、車いす対応型トイレの有無、開花時期の見極め、適度の散歩コースなど多くの要素を勘案しなければならない。今年の花見も早めに計画され昨日が第一班だった。

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 外出の機会が乏しい利用者さん達。普段行けないがそう遠くない所で・・と今年は2年前に完成した国立ハンセン資料館と邸内の花見となった。職員5名利用者7名の小グループ。真新しく広々とした館内は貸切同然で掲示物を音読しつつ進んだ。遂この前迄塀内にあった展示品や掲示物の数々。重いテーマに疲れた目は、素通しのガラス窓越しに更に武蔵野の面影を色濃く残した風景が癒してくれる。疾病そのものの持つ厳しさとつらさ。原因と治療法が解明できず、隔離政策を採り人権侵害を加えた歴史。そのいずれもが明らかになった黎明期。それにも拘らず長らくの因習から脱し得なかった我が国の歴史・・・。

 一時間余で切り上げ「三分咲きの桜とまっ盛りの菜の花」を愛でる。太陽は暖かくビニールシートを敷いてお弁当を楽しむ。帰り際の散策は、今なお歴史のままに歴然と静かに佇み続けているコロニーの一遍を巡った。当然新たな入植者はなく、亡くなる毎に増える連棟式空家だが、村は整然と手入れされ廃屋の荒びは微塵もない。しかし人っ子一人往き合わず、常ならぬ高齢化の高波が思われた。

コメント (1)
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