玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

自給自足も可能

2005年02月17日 | 捨て猫の独り言
土いじりは最も原初的な遊びの一つではなかろうか。

ところが土に親しむことは、誰にでもその才能と、チャンスが与えられているわけではなさそうだ。若い頃に九州から、首都圏に公務員として就職した私より2歳年下の男がいる。その男は、週末になると、耕すべき200坪の畑があった。自宅の近くにみかん農家があり、その農家の休耕田を、無期限で、無償で借り受けて「自分の畑」が誕生したのだ。

この奇妙な契約について、彼の人柄を知る人ならば誰でも、「あり得ることだ」と言うに違いない。畑に出かけるときは、ほとんど一人で出かける。畑仕事をやるのは、家では自分だけだと、おだやかに笑って話していた。

白菜、たまねぎ、長ネギ、里芋、やまのいもなどの生産はお手のものである。頭陀袋にたくさんの野菜をつめこんで、年に2回ほど私どもに届けてくれる。畑の見学をしたことがある。畑の隅に丸太で組んだ頑丈な小屋が建てられていた。さて、やまのいもには、いくつか種類があって、その中の一つ「長いも」を掘り出す作業は、細心の注意と根気を必要とするらしい。日ごろは何事についても愚痴などこぼさない彼が、「あなたにも、この作業をやらせてみたいよ」と持参した長いもを前に話したことがある。よくよくのことなのだろう。

年に一度だけ、みかんの収穫に労働力を提供することで、農家との関係は維持され、彼の畑仕事は今後とも続く。土に親しむ感性に拍手をおくる。先日届けて頂いた里芋は、ほっくりしていて美味しかった。ありがとう。車で2時間半は、少し遠い。もっと近くであればよかった。

コメント
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