玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

青春18キップの人

2005年02月12日 | 捨て猫の独り言
生きていることの証(あかし)とは何だろう。

職場の先輩には、敵わないと思う人が多かった。後輩の私は、組織としての財産を食い潰しているのではないかと自信が持てなかった。悔しいが、学ぶべきことばかりだったのである。

そのうちの一人の先輩のことだ。私より10歳ほど上である。あるとき日本の鉄道のすべての路線を乗り潰すことを思い立ち、青春18キップ(普通自由席)を利用して、まず北海道からその作業にとりかかった。過程が大事なのか、結果が欲しいのかご自分でもからなくなった時もあったのではないだろうか。でも、長年かけてやりとげたらしい。

その副産物なのかどうかわからないが、こけし作りにも、精を出した。放置された原木を持ち帰り乾燥させ、最後の絵付けまで根気よかった。自宅に収容できずに、職場の同僚に引き取ってもらったりしていた。また、陶器作りにも精を出した。これまた、こけしと同様に、水準以上の作品であった。私はいまでも、頂いた湯のみを職場で愛用している。

こよなく日本酒を愛し、各地の酒蔵巡りを楽しんだ。

定年退職の年のことである。3ヶ月前から、自分の机の本を、毎日1冊ないし2冊づつ自宅に持ち帰ることにした。そして、この計画は着実に実行に移され、まさしく最後の日に彼の机は、きれいさっぱり片付いていたのである。

コメント
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