【眠り猫】
日光東照宮で見たいものの上位は、国宝陽明門が一番で、次は国宝眠り猫ではないだろうか。東回廊の奥社の参道入口にあり、左甚五郎の名作と伝わるもので、東照宮の数ある彫刻のなかで最も有名である。
眠っているように見えるが、耳をそばだて周りを警戒し、ネズミ一匹とて奥に通さない体勢である。でも彫刻の裏に回ると、2羽の雀が猫の近くで遊んでいる。弱い雀も安心して暮らせる世を象徴しているとも言われが、左甚五郎の意図は、「争いの無い平和な世界」を彫ったものであろうか。
話は少し横道にそれるが、今月20日から長岡市で第3回「越後長岡ひなものがたり」が開催される。今年の目玉は、信州小諸藩牧野家が所有する、「喜内様阿福様」の木像が展示されることである。眠り猫と同じ左甚五郎作で、喜内(きだい)様は将軍家光で、阿福(おふく)様は春日局である。門外不出の人形であるが、本家長岡牧野家のたっての要請により実現した。前回に続いての明智一族の登場であるが、春日局は明智光秀の重臣斉藤利三の子供で、なぜ家康が家光の乳母に採用し、三代将軍家光の実現では、家康が駿府で、たかが乳母でしかない春日局の意見を採用したのか謎である。