高尾山などの「寅太の山野草」

中越地震で被災した小千谷市と長岡市にある戊辰史跡の復興を応援しています。
山野草を中心にしたブログです。

大賀ハスと府中市(その1)

2008-07-31 06:29:14 | 四季
大賀ハスは2000年の長い眠りから覚めた古代ハスとして、よく知られている。
きょうから4回にわたり、大賀ハスを取り上げる。
昭和27年(1952)にハスが最初に開花した千葉市では市の花となり、県の天然記念物に制定されている。
一方の府中市は、オオガハス(大賀蓮)を咲かせた大賀一郎博士が当時住んでいた土地で、千葉市で開花したハスが、最初に発芽した所である。
この府中市で「ハス博士大賀一郎と府中」展があり、関連講演会として「大賀一郎先生と蓮~市民の愛につつまれて~」が開催されたので、大賀ハスの真実が知りたくて参加した。
講演会の講師は、大賀博士の直接のお弟子で、中尊寺ハスの産みの親である長島時子先生である。

先日、平泉・中尊寺は残念ながら世界遺産にもれてしまったが、まず中尊寺ハスに触れよう。

昭和25年、大賀博士は「藤原三代遺物学術調査」に参加し、金色堂に安置されている「藤原泰衡の首桶」からハスの種を発見した。
大賀博士はこれを持ち帰ったが、多忙のため発芽に取り組むことができなかった。博士の没後、残された資料の中から5粒の種が見つかり、約15年ぶりに持ち主の中尊寺に返された。
中尊寺に戻された種は、しばらくの間そのままになっていたが、中尊寺から5粒の中の2粒を再度発芽研究の依頼をしてきた。ここで白羽の矢が当たったのが、大賀先生の弟子さんの長島先生である。
発芽から開花まで、5年間の苦労があったようであるが、平成十年に800年の眠りから目覚めて開花した。
ハスの実は地中では長い間眠り続けるが、地上での保管では50年位だと言われる。これは大賀博士の研究を見続けてきた長島先生の経験則で、中尊寺ハスは発芽の限界に近かったようである。
現在では中尊寺ハスは、大賀ハスとともに古代ハスの代表的なものとして良く知られ、藤原三代の中尊寺を訪れる人の目を楽しませてくれる。

 
(淡いピンク色の大賀ハス)   (府中市の大賀一郎博士の銅像)

次に大賀ハスであるが、昭和26年に千葉市の検見川遺跡(東京大学検見川農場)の泥炭地から3個の古代ハスの実を発掘することに成功した。
掘り始めて1ヶ月後に、3粒の奇跡の発見は、まさに博士の執念が実ったものであろう。
詳しくは、3月30日に1粒、4月6日に2粒の発見なのだが、中尊寺のハスの実の発見から1年遅れてのことである。

 

 

写真はすべて府中市健康センター修景池(しゅうけいいけ)の大賀ハスである。ここには30数種のハスが植えてあり、中尊寺ハスや博士の研究した妙蓮もある。
(次回は大賀博士の生い立ち)
大賀ハスと府中市(その2)
大賀ハスと府中市(その3)
大賀ハスと府中市(その4)
(多摩丘陵)
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シダレヤナギ

2008-07-30 00:14:51 | 樹木
国会議事堂でキョウチクトウ(夾竹桃)にであったが、永田町周辺を歩いていたのは、総理大臣官邸を見学する目的だった。
幸運なことに官邸内部に入ることができ、組閣写真でおなじみの階段、総理大臣を起立して待つ閣僚応接室、官房長官の記者会見室などを見学した。もちろん忍びこんだのではなく、厳正な手続きと、精度の高い金属探知機を通って、正面から堂々と入ったのである。
官邸内部は内閣官房の広報室でも一部公開しているので、官邸内の庭や樹木を機会があったら紹介しよう。

官邸は地上5階、地下1階の建物で、平成14年に運用を開始した。
東西に段差のある土地に建てたので、正面玄関は3階にある。1階が広報機能、2~3階が迎賓機能、4~5階が執務機能そして地下1階に危機管理機能を持っている。さらに屋上は緊急時のヘリポートである。

休日であったが厳重な警備の中、まず出迎えてくれたのはシダレヤナギ(枝垂柳)の樹木である。シダレヤナギといえば、夏場には幽霊がつきものである。
ブログの仲間が、魑魅魍魎(ちみもうりょう)なる言葉を教えてくれた。「魑魅」は山の怪物、「魍魎」は川の怪物で、両方でさまざまなばけものとなる。官邸とシダレヤナギの組み合わせに妙に納得する。
(上の写真が西出入口、下右が正面出入口)

 

枝垂柳/ヤナギ科/ヤナギ属。
中国原産の落葉高木で、奈良時代に渡来した。別名イトヤナギ(糸柳)。
葉は互生し狭被針形で、公園や街路樹として植栽される。雌雄異株で雌株は少なく繁殖は挿し木で行う。
名前の由来:枝が垂れ下ることから、シダレヤナギの名が付いた。またヤナギは、むかし中国でこの木で矢を作ったことから、矢の木から転訛したという。
花期:3~5月。
(総理官邸)
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カセンソウ

2008-07-29 05:48:50 | 山野草
この季節の日当たりのよい草原などで見かける黄色のキク科の花であるが、同属のオグルマ(小車)に似ていると言われる。
カセンソウが葉が細長く、硬く触るとカサカサし、葉の裏面の葉脈がはっきり浮き出ている。
この特徴は満たしているが、オグルマを見たことがないので少し自信がない。
名前も歌仙草で由来が解らず、ちょっと謎めいた植物である。

歌仙草/キク科/オグルマ属。
日当たりよい草原に生える多年草。
茎は直立し硬く、葉は柄が無く縁に細かい鋸歯があり、葉の裏葉は葉脈が目立ち互生する。
茎の頂部に、黄色の筒状花と舌状花の花をふつうは1個付ける。
花期7~9月。
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キョウチクトウ

2008-07-28 00:48:54 | 樹木
この季節には、サルスベリ(百日紅)と並んでキョウチクトウ(夾竹桃)の赤い花が目に付く。
昨日、用があって国会議事堂の近くに行った。休日で議事堂の周りの人や車の通行が少ないのに、議事堂と総理官邸を警備するの警察官の多さには驚ろいた。
議事堂の門は閉ざされ、ぐるりと廻した塀で敷地の入れないが、外の歩道からキョウチクトウが見事に開花しているのが見える。

 
(地面に横たわった花と国会議事堂)

夾竹桃/キョウチクトウ科/キョウチクトウ属。
インド原産の常緑低木で明治時代に渡来した。
乾燥にもよく耐えるので、街路の路側帯や公園木などに植栽されている。葉は線状被針形で上面は濃緑色で輪生する。枝先に集散花序を出し多数の花を咲かせる。色は赤色、桃色、白色など多彩で八重咲きや一重咲きが見られる。
名前の由来:中国名の夾竹桃は、葉の形状が竹に似ていて、花が桃に似ていることからこの名が付いた。
花期:6~9月。
(国会議事堂)
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ダイコンソウ

2008-07-27 06:38:21 | 山野草
何処からやってきたのか、庭の鉢にダイコンソウ(大根草)の黄色い花が咲いていた。
花後のそう果が衣服に付き、わが家まで運ばれてきたのだろうか。
花はキツネノボタン(狐の牡丹)にも似ているが、そう果の形や葉の形状など明らかに異なる。

 
(ダイコンに似た根生葉とそう果)

大根草/バラ科/ダイコンソウ属。
山野に生える多年草。
根生葉は羽状複葉で、茎に付く葉は3裂から単葉へと変化し、分岐した茎の先に黄色の小さな5弁花を付ける。
花のあとの花柱がカギ形になり、これでそう果は人や動物の体にかかり運ばれる。
名前の由来:根生葉が羽状複葉で、ダイコンの葉に似ているところからこの名が付いた。
花期6~9月。
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本性を現したオオハンゴンソウ(実は誤解?)

2008-07-26 00:58:52 | 四季

2年ほど前に園芸植物の名をかり、ルドベキアとしてわが家にやってきた。
中央部が少し赤いのと、草丈も40cmほどで鉢の中におとなしくしていたので、あまり気にしないでいた。
昨年は鉢から芽を出さないで、消滅したように見えた。
ところが今年になり、鉢の位置からは5mほど離れた庭の隅に、ぐんぐん伸びる植物があった。
1m50cm位の草丈で、たくさんの花をつけているのを見てびっくりした。
園芸植物ルドベキアの名をかりてわが家に入り込み、1年間可愛い花で油断させておき、突如、野生の本性を現したオオハンゴンソウ(大反魂草)に違いない。

オオハンゴンソウは筒状花が黄緑色、アラゲハンゴンソウは黒紫色。明らかに黄緑色ではない。すでに処分したが、アラゲハンゴンソウにお詫び致します。(あれっくちゅさん、ご指摘ありがとうございました。)

オオハンゴンソウは、明治中頃に渡来した北アメリカ原産の帰化植物で、その繁殖力は凄まじい。
北海道、東北、日光そして箱根まで彼らの領域は広がり、国立公園内等では塵芥戦術で駆除作業が行われている。
現在では、在来植物の生態系に影響を及ぼす恐れがあるとして、「外来生物法」により特定外来生物に指定され、売買や栽培などが制限されている。
これからたくさんの花を咲かせ、近くに群生をつくる準備をしていたようだが、 仏滅の日の昨日に庭から消えてもらった。
なお、反魂とは死者の魂をあの世から呼び戻すことで、似た名前の植物にハンゴンソウ(反魂草)がある。

 

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コウヤノマンネングサ

2008-07-25 06:58:06 | 山野草
中央道の談合坂SAの売店に、山野草のコーナーがあり、5cm程の高さのコウヤノマンネングサ(高野の万年草)を売っていた。
よく似たフジノマンネングサ(高野の万年草)と1鉢づつの販売である。
コウヤノマンネングサは2本で980円は、苔の仲間で珍しい植物だがかなり良い値段である。
家に帰って、雑草の中に埋もれていたコウヤノマンネングサを、植生が似ているマイズルソウ(舞鶴草)と鉢の中に植えなおした。
山を歩いていても、このコケに会うことはまれである。

高野の万年草/コウヤノマンネングサ科/コウヤノマンネングサ属。
山地の林中や川沿いの林などに生えるコケの仲間。別名コウヤノマンネンゴケ(高野の万年苔)。
地下茎が地中を長く這い、数センチ間隔で先端が次々に地上に伸び、多くの枝を出し木のような形になる。
名前の由来:高野山に生え、地下茎から次々と新芽を出すことからこの名が付いた。
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コオニユリ

2008-07-24 11:06:01 | 山野草
近所の民家の庭にはオニユリが咲いている家が多いが、我が家にはない。
そのかわりにコオニユリ(小鬼百合)が咲き始めた。
オニユリ(鬼百合)が家の近くで見られるのに対し、コオニユリは湿原の周辺や草原などに生育する。
コオニユリより少し小型であるが、誰でも分かる区別点はムカゴが付く(オニユリ)か、付かない(コオニユリ)かである。

 
(ムカゴの有無、左はオニユリ、右はコオニユリ)

小鬼百合/ユリ科/ユリ属。
日当たりのよいやや湿った山地に生える多年草。別名スゲユリ(萓百合)。
茎は細く直立し、葉は互生する。茎の先にオレンジ色の花を数個付け、花破片は6枚で外側に強く反り返り、内側に紫黒色の斑点がある。
名前の由来:オニユリに似ているが、小さいことからこの名が付いた。
花期7~9月。
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オニユリ

2008-07-23 00:19:01 | 山野草
庭にコオニユリ(小鬼百合)が咲いた。
コオニユリの説明には、よく似ているオニユリ(鬼百合)の説明が必要で、急いで近くの家の庭からのぞいているオニユリを撮った。
オニユリとコオニユリはよく似ていて、オニユリが一回り大きい。オニユリが人里近くに生えるが、コオニユリは山地の草原に生える。
そして決定的な違いは、オニユリは葉の付け根に暗紫色のムカゴを作るが、コオニユリはムカゴが付かないことである。

 
(右はオニユリのムカゴ)

鬼百合/ユリ科/ユリ属。
人里近くに生える多年草。
草丈は1~2m程となる大型のユリで、葉は互生し披針形で先端は尖り、葉腋に紫黒色の珠芽(ムカゴ)を付ける。花は橙色で内側に黒紫色の斑点がある。
名前の由来:黒色の斑点模様のある赤橙色の花を、赤鬼の顔に見立て、この名が付いた。
花期7~8月。
(多摩丘陵)
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サネカズラ

2008-07-22 00:33:20 | 樹木
多摩丘陵にもたくさん自生しているし、民家の庭にもかなり植えてあり、秋の真っ赤なサネカズラ(真葛)の実は見事である。今まで、初夏から夏にかけて咲く花を見たことがなかったが、やっと黄白色の花に出合った。雌雄異株と雌雄同株があるようで、花びらの内部が赤いのが雄花で、薄い緑色をしたのが雌花である。


(サネカズラの雄花)

 
(左の雌花と、右は秋の果実)

真葛/マツブサ科/サネカズラ属。
山野などに生え、庭木、生垣に利用される蔓性の常緑低木。別名ビナンカズラ(美男葛)。
雌雄異株。葉は楕円形で互生し、夏に葉の付け根から黄白色の花を付ける。秋にかたまった実が赤く熟し美しい。
名前の由来:赤く熟した果実が美しいつる(蔓)性の植物ということからこの名が付いた。
花期:7~10月。(多摩丘陵)
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