昨日、私の日本人ペンフレンドの一人、サチエさんからのメールに以下のことが書いてありました。
「EUの金融危機は本当に深刻ですね。一昨日久しぶりにドイツのRが電話をくれて、彼と1時間くらい話したのですが、彼は比較的楽観的でした。他のユーロ圏の国に比べるとやはりドイツはかなり景気が良いらしいです。ユーロ安が結構ドイツ経済を助けているみたいです。日本とは逆ですよね。
私にはもう一人ドイツ人のメル友がいるのですが、彼の方が辛口でした。ドイツは年金開始年齢が上がって、金額が下がって・・・等、決して今の状況は良くないとネガティブな見解でした。人によって色々ですね。」
この部分について、私はサチエさんに、
「EUの金融危機について、エコノミストやフィナンシャルタイムズなどは、随分とドイツを悪者に書いていますが、ドイツが一番気の毒なんですよね。
先日のドーアさんがイタリア人の楽観について話をしたときに、ふとビル・トッテンという米国人(米国批判をしすぎて、ブラックリストに載り、日本に帰化した人。昔、ブロードキャスターかなにかにコメンテーターでも出ていた人)で日本にITソフト会社を京都で持っている人が、「仕事が半分になったら、社長から平社員まで皆の労働時間を半分にすれば良い。人間は衣食住があれば良いので、あまった時間で畑を耕し、衣類も自分で作れるようにすれば良い」といって、自分の会社で農地を借り上げ、そして希望する社員に洋裁の指導者をつける・・・という取り組みをしていることを思い出しました。
この話を皆にしたら、Hが「社会主義か」と(普段社会主義者を軽んじる彼もこの時はいやな感じではなく)言っていましたが、社会主義だなんだという前に、人間としてこの方式が、現在の失業率悪化と同時にこの金融危機を乗り越える手立てとなるのではないか、と思います。
短時間労働といえば、Rさんと同じように、ルフトハンザを早期退職(現在は嘱託のようで、これも来月終わる)したブルクハルトさんもそうですね。」
と書きました。
さて、このサチエさんの言うドイツのRさんは、私も一時期文通をしていたときがあります。(japan.guide.comの利用者は若者中心なので、中高年ともなると、案外世界が狭い)
彼は現在40代後半で大手企業の社員ですが、体を壊して、今はパート勤務に切り替えています。仕事を減らした分、彼は観光ガイド、人形劇などを無料でし、そこで得た寄付を、アフリカ難民の為に団体に送ったりしています。
そして、ブルクハルトさんとは私のドイツの60代の友人で、彼は「人生はお金が全てではない」と言って、早期退職。ルフトハンザの仕事を(おそらく嘱託として)半分しながら、趣味でガラス工房を持っています。
(オランダでは適用されていますが、ドイツで、短時間労働者でも正社員と同じ賃金『同一労働同一賃金』が適用されているのかどうかは不明。)
そして、ここで書いたドーアさん(先日お会いしたイギリス人社会学者でイタリア在住のロナルド・ドーア氏)のイタリア楽観の話とは、「国が財政危機であろうとなんだろうと。住む家があって、畑があれば生活は変わらない」と言っていたイタリア人の話のことです。
現在の状況を改善するには、楽観論とパラダイムシフトが必要なのだろう、と思います。
参考:
『アメリカ人のトッテン社長を見習っては』