イタリアのラクイラ地震の裁判の地裁判決がでたようです。
科学者らに求刑上回る禁錮6年=地震警告失敗で有罪判決―伊地裁
時事通信 10月23日(火)0時35分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121023-00000005-jij-int
【ジュネーブ時事】イタリア中部ラクイラで2009年4月に死者309人を出した大地震で、事前に住民に警告しなかったとして過失致死罪で科学者ら7人が起訴された裁判で、ラクイラ地裁は22日、全員に禁錮6年の有罪判決を下した。科学者らの判断が「不正確かつ不完全、矛盾に満ちている」と指摘。検察側求刑の禁錮4年を上回る厳しい判断を示した。
地元メディアによると、被告弁護士の一人は「判決は信じられない内容だ」と述べ、控訴する意向を明らかにした。
裁判は技術的に困難な地震予知をめぐり、科学者らに責任を問えるかどうかが争点となった。世界各国の5000人を超える科学者らが「科学を裁くことはできない」「専門家は責任追及を恐れ地震リスク評価に協力しなくなる」と批判していた。
訴えられたのは、自然災害リスクを評価する政府市民保護局の委員会メンバーだった著名地震学者、地球物理学研究機関のトップ、同局幹部ら7人。ラクイラで続いていた微震のリスクに関し、地震発生6日前に「危険はない」と公表、住民が逃げ遅れるなど甚大な被害を招いたとして11年5月に起訴された。
検察側は7人が「不完全かつ的外れで犯罪に値する誤った評価」を行ったとして責任を追及。地震予知ができたかどうかが問題ではなく、中世の歴史的建造物が残るラクイラが地震に弱く、住民へのリスク警告を怠った責任があると主張していた。
昨年11月に、イタリアのラクイラ地震の裁判についての記事を書きました。
(『地震を予告できなかった専門家に責任を問うイタリア』
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20111106)
この研究所は、私のイタリア人ペンフレンドの勤務先です。
トリノ旅行前、トリノ近郊に来ることもあるという彼とメールを交わしていました。(たまたま少し前に求刑禁錮4年という話を知ったので、)そのメールに短くこの裁判について書きましたが、今度は彼はこれには無応答でした。やり切れなさと保身が混じったものが彼のなかにあったのではないかと思います。
それにしても、ジェノバサミット時の事件
(『2001年ジェノバ・サミットの舞台裏で何があったか』
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20120717)
や今回の事件などを聞くと、イタリアは(中世とまでは言いませんが)戦前の国のままであるような錯覚を覚えます。
イタリアが戦後王制廃止を決めサヴォイア王家を国外追放することになったのも(日本の天皇制存続の可否を国民投票で決めるなんて、考えられないですね)、原発廃止を決めたのも、これは国民投票によるものです。
そこまで“民主的”な国が、とてもじゃないけど、ときどき文明国とは思えないことをする。
この裁判、控訴して判決が覆る可能性もあるでしょうが、判決が覆されることがなければ、(再選を目指していると言われている)ベルルスコーニがまた大統領に復帰しても納得してしまいそうです。
それはそうと、日本の地震学者の皆さん、イタリアの同業者のために動いてくれないでしょうか。