Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

藤原節男さんのケース-原発業界の“Responsibility”とは

2011年07月21日 | 原発・核・311

6月のブログ、『国民性とヒーロー』

http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20110619

に、ウォール・ストリート・ジャーナル日本版の記事、

『元原発検査員、内部文書公表でずさんな実態を告発』

http://jp.wsj.com/Japan/node_250525

を紹介しましたが、本日この元原発検査員の藤原節男さんから、ご連絡をいただきました。

全文は以下のとおり:

“「彼(藤原節男氏)はヒーローだわ」との評価、ありがとうございます。
WSJ日本版の記載は、英文和訳です。このため、若干、わかりにくいところがあります。真意は、以下のとおりです。なお、いまだに、原子力安全委員会、原子力安全・保安院は、「本内部申告は、原子力安全に関係しないため却下」の態度です。内部申告制度が、内部告発者摘発制度に成り下がっています。これでは、福島原発事故と同様の事故が再発します。ご支援をよろしくお願い申し上げます。

【東京】原子力安全基盤機構(JNES)で原子力発電所の検査を担当していた藤原節男氏(62)は、内部文書を公表し、当局による検査のずさんさを訴えている。
藤原氏がJNESに安全管理の甘さを批判し始めたのは2009 7 月。同年中に原子力安全・保安院(NISA)にも訴えた。その後2010 3 月にJNES退職に追い込まれたという。

藤原氏は2010 8 月、JNESに復職を求める裁判を東京地方裁判所に起こした。JNESは裁判所への提出書類で、辞めてもらった理由は勤務成績の問題だとしている。JNESの広報担当者はコメントを控えた。これに対し、藤原氏は、不当な退職に追い込まれたのは、内部告発をしたためだとしている。

同氏は訴訟で、検査の問題を記録した「トラブル・クレーム対応の記録」という内部資料だとする書類を提出している。この資料のなかには、たとえば、原子炉の検査過程において、起こった様々な問題が記録されている。藤原氏によると、この記録はトラブル・クレームに直接関わった検査員や記録を担当する部内の別のメンバーが記入し、JNESが問題を把握するために使っていた。また、別の提出書類には、ある原子炉の検査結果報告をめぐって藤原氏と上司がやりとりした電子メールの記録も含まれる。

JNESは、訴訟でこれらの資料の真偽にはコメントしていないが、藤原氏が内部機密文書を不適切に開示したと批判している。

トラブル・クレーム対応の記録には、3 月の福島第1 原発の事故に直接関係する項目はなく、他の原発での大きな事故につながるようなトラブルも記載されていない。ただ、検査員の不足や、一部の面で国際基準に満たない記録管理など、さまざまな面でのずさんさがうかがえる。

内部資料によると、たとえば、島根県での新たな原子力発電所建設では、資格の有効期限が切れた溶接士を従事させていた。また、ある原子力発電所の稼働前の検査では、2 人で行うべき検査を1 人で行っていた。

NISAの当局者によると、法律による内部告発制度を使って規制当局を正式に訴えたのは、藤原氏が初めて。他の告発の対象は、電力会社やメーカーだという。

藤原氏は、記録に残されたトラブルやクレームに対するJNESの対応を批判した。内部でミーティングをし、エクセルで作成した記録には、短いコメントを書くだけだからだ。本来なら、公式の不適合報告書を作成し、問題の綿密な分析や再発防止策を明記すべきだという。

2003 年の設立以来、JNESはこうした報告書をわずか2 通しか提出していない。

法律ではこうした報告書の提出は、義務づけられてはいないが、国際原子力機関(IAEA)QA 規定では、義務づけている。

藤原氏はインタビューで、「わたしは、たまたま定年間際で、わたしに対する被害はなにもない。だから、ドン・キホーテになってでも、告発すべきだと思った」と語った。

告発に踏み切ったきっかけは、ある原発の検査で好ましくない検査結果の隠蔽(いんぺい)行為を目撃したことだ。2009 3 月、北海道電力泊原発で新規原子炉の減速材温度係数測定検査を担当した。1 日目は、減速材温度係数が正(プラス)で、不合格であった。しかし、要領書どおりに再検査を行い、2 日目は、減速材温度係数が負(マイナス)となり、条件付き合格とした。

同氏によると、上司にそれを報告したところ、上司は、再検査で良好な結果が出た記録のみを記載し、初回検査の記録を報告書に記載しないよう命じた。JNESとNISAも、この事実を認めている。

同氏が、初回検査の記録を残すように抗議すると、上司は勤務評定を悪くすると脅したという。JNESは、この上司に対する取材を認めず、現在も在職しているかどうか確認することも拒否された。

藤原氏の訴訟やJNES、NISAへの提出文書によると、JNESは、抗議を受けて初回検査の結果も記録に残した。ただ、同氏が上司の記録改ざん命令が不適合業務に当たることを認めるよう、JNESに求めたが、JNESは応じなった。

大阪大学の宮崎慶次名誉教授は、「検査結果がプラスになるには、それなりに明確な理由が必ずあるはずだ。それをそのような結果がなかったとするような行為は、技術者としては絶対にしてはいけないこと」だと指摘。事の背景は詳しくは知らないとしながらも、記録改ざん命令を拒否した藤原氏の主張は「まったく正しい」と述べた。

北海道電力の広報担当者はコメントを控えた。”

ついでに、私の返事は以下のとおりです。

「藤原さん、ご連絡ありがとうございます。

WSJはじめ海外報道の日本語版は、訳の問題ではなく、必要以上に要約されすぎているものが少なくないのですが、ついついオリジナル版に目を通すことを怠ってしまいます。藤原さんがお送りくださった真意(オリジナル記事の内容)は、後のブログで紹介させてください。

日本が「先進国、文明国、民主主義国家」と思えなくなることが時々あります。それを許してしまう土壌を改善しないと、取り返しのつかないことになりそうですね。

(後略)」

なお、WSJのオリジナル記事のリンクはこちら。

Former Inspector Complains of Regulators' Practices

http://online.wsj.com/article/SB10001424052702303654804576346821727192828.html

コメント (2)
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